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都心にネズミが大量発生は「地震の前兆」の可能性も?首都直下大地震は近いのか

28日、産経新聞が「東京の繁華街でネズミの大群相次ぐ コロナ明けと相関」という記事を報じました。都心の繁華街で、ゴミ置き場にてネズミの大群の目撃が相次ぎ、SNSに動画が投稿されているとしています。コロナ禍が一段落して飲食店などに活気が戻ってきたこととの関連性を指摘する声が上がっているという記事でしたが、「ある懸念」を思い浮かべた方も多いのではないでしょうか。それは「地震発生の前兆」です。古来より、大きな地震の発生前には動物たちの動きに変化があらわれると言われていることはご存知の通り。例えば、古くから言い伝えられているのが「水槽のナマズが騒ぐ」「カラスの鳴き声がいつもより多い」「ネズミが大移動する」といったもの。一体、東京都心の周辺で何が起きているのでしょうか?

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地震発生の前兆「宏観異常現象」とは何か?

地震の発生前に「前兆」とも言える現象が起こることを「宏観異常現象(こうかんいじょうげんしょう)」(大きな地震の前触れとして発生ないし知覚されうると言われている、生物的、地質的、物理的異常現象とされるもの)と言います。

こうした動植物の異変と地震を結びつける言い伝えや俗信は日本全国にあり、実際に研究をおこなっている大学や研究機関も少なくありません。

「ナマズが騒ぐと地震が起きる」の由来

日本ではナマズと地震の関係が古くから注目されています。日本中で言い伝えられている俗信や迷信などを集めた鈴木棠三・著『日本俗信辞典 動・植物編』(1982、角川書店)を紐解くと、「鯰(なまず)」の項に、以下のような記述がありました。以下にある安政二年の地震とは、「安政江戸地震」と呼ばれる1855年10月2日(現在の11月11日)発生の江戸直下を震源とするM7クラスの巨大地震のことです。

『安政見聞誌』の上巻に、安政二年の江戸の大地震の際、ナマズの騒ぐのを見て地震の来るを知り、難をのがれた男の話が見えている。一説に、ナマズは地震前の地電流に敏感に反応し騒ぐのではないかといわれる。ナマズが多くとれる時は地震ありと、ひげにあぶくの生ずる時は地震近し、ともいう。

やはり江戸の時代から「ナマズが騒ぐと地震が近い」という俗信が信じられていたようです。江戸時代には大ナマズが地下で暴れることで大地震を起こすという民間信仰があり、安政の地震以降にナマズが大暴れする様子を描いた「鯰絵(なまずえ)」と呼ばれる多色刷りの浮世絵が多く残されました。地震だけでなく、当時の世相を皮肉ったものや、幕府への不満なども込められているため江戸幕府が禁止したという過去もあります。

現在でも、公共機関などが地震に関するパンフレットなどを作成する際に「ナマズ」のイラストをあしらっていることがよくあります。日本国内では今も昔も「ナマズ」が地震前兆のシンボルになっているというわけですが、ここに出てくる聞き慣れない『安政見聞誌』(あんせいけんもんし)とは何の書物でしょうか。国立公文書館のHPによると以下のような解説が出ています。

文明開化の世相を描いた『安愚楽鍋(あぐらなべ)』などの著者として知られる仮名垣魯文(かながきろぶん)(1829―94)が著した安政江戸地震のルポルタージュ。震災の年に脱稿し、安政年間に刊行されました。全3冊。絵師は歌川国芳(うたがわくによし)ほか。内容は『安政見聞録』よりはるかに豊かで、江戸各地の被害状況はもとより、新吉原で穴蔵に避難した遊女が全員焼死した話や地震の前兆(鯰(なまず)の異変、磁石が磁気を失ったこと)など、災害時の心得や地震予知に関する貴重な情報が記載されています。

江戸時代の安政3年に発生した地震にも、当時の被害状況などを記録するルポルタージュが出版されていたことに驚きました。さて、この『安政見聞誌』ですが、上記を見ればナマズ以外にも重要な「宏観異常現象」に関する記述があることが分かります。「磁石が磁気を失った」という部分です。

地震の発生前に「磁石が磁力を失った」という記録

東京・港区立港郷土資料館の「港区立港郷土資料館へ行ってみよう 第11号(2014年3月発行)」(注:PDFが開きます)には、件の『安政見聞誌』に掲載されている「地震計」の図について、

地震計は、江戸時代に考案された地震予知器です。安政の大地震の前に磁石が磁力を失ったという話をもとに作られました。現在でも地震予知は難しいのですが、江戸時代から、このような試みが行われています。

と、安政の地震前に磁石が磁力を失ったことが書かれていることを紹介しています。その記述とはどういったものだったのか、東京都立図書館の公式HPには所蔵資料である『安政見聞誌』に関する記述に、以下のような資料解説が記されていました。

「10月2日の地震の一時(いっとき)ほど前、浅草の眼鏡屋に置いてあった磁石から吸い付いていた古釘などが悉(ことごと)く落ちたという。そのエピソードに続き、地震時計の図が紹介されている。原理は磁石に釘を吸いつけておき、地震の前に磁石が引力を失ってこの釘が落ちると、時計仕掛けが作動し「りん」を打って予告するという」

上記のとおり、江戸・浅草のメガネ屋さんに置いてある磁石に付いていた釘などが地震発生の一時(いっとき、約2時間)ほど前に落ちたというエピソードが書かれていました。磁石の磁力低下と地震の関係については、以前から「冷蔵庫に貼っていた磁石が一斉に落ちた」という宏観異常現象が報告されており、上記の「地震計」を応用した「鈴落下装置」という磁石を使った地震予知の装置の作り方もネットに出回っているようです。江戸時代の人たちが教えた「ナマズ」や「磁力の低下」という地震の「前兆」が、現代の地震予知研究に役立つ日がくるのかもしれません。

 

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(本記事は、2019年、2020年に公開の記事を一部加筆、修正したものです)

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