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The friendship of three girlfriends

悪口が好きな人は必読。今日から身に着けるべき「陰ほめ口」の処世術

あなたの周りに、他人の悪口を広める人はいますか? 陰で人の悪いところを話す行為は、その場ではわりと盛り上がってしまうものですが、決して幸せになる行いではありません。今回のメルマガ『富田隆のお気楽心理学』の著者で心理学者の富田隆さんは、自分も周りも幸せになるために悪口とは正反対の「陰ほめ口」を推奨。「陰ほめ口」の上手な使い方も解説しています。

陰ほめ口

【陰口は嫌われる】

「陰口(かげぐち)」って嫌ですよね。

直接、面と向かっての批判ならともかく、当人のいないところで悪口を広める人は嫌われます。

ところが意外なことに、陰口を言いまくっている当人は、自分が人気者だと勘違いしていたりするものです。

というのも、陰口を聞かされた側の人たちは、たとえ内心不愉快でも、その場だけは適当に調子を合わせていたりするからです。

それで、話している側は、てっきり自分が「ウケている」と勘違いしてしまうというわけです。

まあ、時には、その場にいない人の悪口で盛り上がってしまう場合もありますから、ウケることがあるのも事実です。

しかし、「陰口メッセンジャー」(?)が嫌われるのには、合理的な理由が少なくとも2つあります。

第一は「条件付け」です。

否定的でネガティブな情報ばかりを伝えていると、伝えている「メッセンジャー」自身にもネガティブな印象が条件づけられてしまいます。

要するに、ネガティブな刺激情報とメッセンジャー本人の「対呈示(ペアで脳を刺激すること)」が繰り返されることで、条件付けが成立してしまうのです。

言い換えれば、もともとはネガティブな刺激情報によって引き起こされていた嫌悪反応が、「対呈示」によって、メッセンジャーという存在にも結びついてしまう、ということです。

その結果、メッセンジャーが登場しただけで、聞き手の側に嫌悪反応が生ずるようになってしまいます。

ですから、メッセンジャーの印象は、陰口を言って回るたびに少しずつ悪くなって行きます。

第二はメッセンジャーが「疑心暗鬼」の対象となってしまうことです。

聴衆(?)が「陰口」に調子を合わせているのには、その情報が面白いという理由の他に、その場でメッセンジャーに調子を合わせておかないと、自分が攻撃の対象になってしまうのではないかという「不安」が生じるからです。

こうした不安が「同調圧力」となり、陰口に調子を合わせる聴き手が増えるのです。

こうした心理は、リーダー格のいじめっ子に引きずられる形で、結果的に「いじめ」に加担してしまう、気の弱いフォロワーの場合とよく似ています。

よく彼らが後になってから口にするのは、「いじめる側に合わせないと、自分がターゲットにされるかもしれないと思った」という言い訳です。

同じように、陰口を聞かされるフォロワーたちも、内心では、メッセンジャーがいつか自分をターゲットに悪口を言って回るのではないかという「疑心暗鬼」の心理を抱え込むことになります。

こうなると、メッセンジャーは信頼のできない存在となり、いつ敵に回るか分からない時限爆弾のような者と見なされるようになります。

ですから、潜在的に「陰口メッセンジャー」は嫌われるのです。

ちょっと考えれば分かることですが、「陰口文化」は誰も幸せにしてくれません。

ターゲット、メッセンジャー、フォロワー、皆が皆不幸になります。

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【ほめ言葉の伝言ゲーム】

「陰口」が皆を不幸にするのだとすれば、これとは真逆に、皆が幸せになるのが、陰で誰かをほめるという行動です。

仮にこれを、「陰ほめ口」と名付けておきましょう。

たとえば、あなたが、その当人(ターゲット)のいないところでその人の長所をほめたとしましょう。

「とても魅力的」「仕事のやり方がきちんとしている」「明朗で一緒にいるだけで気分が良くなる」「一本筋の通った人」「粋だ」「センスが良い」「セクシーだ」etc.何でも構いません。

あなたの「ほめ言葉」を聞いたメッセンジャーはそれを誰かに伝えるはずです。

もちろん、取ってつけたようなほめ言葉では、メッセンジャーが誰かに話す可能性もゼロになってしまいます。

できれば、具体的なエピソードと結びついた「納得感」のあるほめ言葉が望ましいのです。

たとえば、「先日偶然に、電車の中で、○○さんがお腹の大きな妊婦さんに席を譲っているのを目撃した。譲り方が、とてもさりげなく上手で、慣れている感じだった。あの人は、見ず知らずの人にも親切にできるとても優しい人だ」といった具合です。

残念なことに、「良いニュース」の場合は、スキャンダルや悪口の場合ほど「伝達速度」は早くないかもしれません。

昔から、「悪事千里を走る」などとも申します。

とは言え、そうした良いエピソードについての情報(グッドニューズ)は、たとえ少しずつでも、まるで伝言ゲームのように、次々とメッセンジャーを増やし、拡散して行きます。

そして、最後には、ターゲットの耳にも届くのです。

そうなれば、ターゲットはとても嬉しいはず。

第三者を通して、あなたがほめていたという事実を聞かされることは、直接あなたにほめられた場合以上にターゲットを感動させます。

もちろん、直接あなたからほめられた場合も、嬉しいに違いありません。

それでも、相手はいろいろな理由から、そのほめ言葉を「差し引いて」受け止めているのです。

たとえば、もしかして「お世辞?」「敬老精神?」「上司へのヨイショ?」「私に取り入りたい?」「何か頼み事でもある?」「何か失敗でもやらかした?」etc.といった具合です。

つまり、あなたとターゲットの「関係性」に従って、ほめ言葉に対する無意識の「引き算」が行われてしまうのです。

悲しいことですが、誰もが社会的な「立場」というものを持っている以上、こうした「無意識の引き算」を避けることはできません。

ところが、第三者を通して、「間接的に」ほめられると、引き算抜きで素直に喜んでしまうのです。

なぜ「陰ほめ口」は効果的なのでしょう?

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【客観的評価】

直接、あなたにほめられるよりも、「第三者」というフィルターを通して、「伝聞」の形であなたがほめていたという「報告」を聞く方が、「信憑性」や「公正性」が高いと感じられるのです。

別の言葉で言えば、ターゲットのいない所で、ターゲットにそれが伝わるかどうかも定かではない状況で、語られた内容は、「お世辞」や「よいしょ」ではなく、あなたの「本音」に近いものであり、「客観的評価」であると受け止められやすいのです。

また、当人の耳に届く前に、そうした「良い評価」を多くの人が「共有」しているということも、当人にとっては嬉しいことです。

つまり、私たち人間は「社会的存在」であり、多かれ少なかれ「みんな」や「世間」の評価に左右されやすい存在なのです。

また仮に、ターゲットが「世間の評価」などは無視できるような意志の強固な人物であったとしても、自分のことを「客観的」に「評価」してくれる「理解者」がいるということはとても嬉しいに違いありません。

いずれの場合でも、「陰ほめ口」は、その発信者と受信者の間に特別な「信頼関係」を築いてくれます。

ですから、昔からサラリーマンの間では、「苦手な上司」との関係改善を図りたければ、この「陰ほめ口」を使うべきという教訓が、先輩から後輩へと伝承されて来ました。

その場合、無理をして苦手な上司の「全人格」をほめたり好きになったりする必要は無いのです。

たとえその上司がどんな嫌な奴であったとしても、一つや二つは何か「長所」や「得意技」を持っているはずです。

そうした「長所」を見つけ出して、それを具体的なエピソードを交えて誰かに話すと効果的だ、というわけです。

たとえば、「○○課長は、一見怖いけど、本当は部下思いの優しい人だ」と飲み会の席で仲間に話すのです。

エピソードがあれば、さらに強力です。

たとえば、「俺が仕事で失敗した時に、恐ろしい勢いで叱られた。でも、その後、部長に対して、『あいつは頑張り屋で見込みがある。必ず今回の失敗を取り返すはずです』って俺のことを庇ってくれた。俺、涙が出たよ」といった具合です。

ここまで重い話でなくとも、「○○課長は本当に勉強家だよ。毎朝、電車の中で『日経』に眼を通してる。俺も見習わなきゃ」といった軽い話でも良いのです。

いずれの場合でも、こちらが「本音」で評価していることが織り込まれているという点がミソです。

古来、「士は己を知る者のために死す」という言葉があるように、人にとって、自分に「理解者」がいるということは無上の喜びであり、自分が大切にしていることを「認める者(知る者)」のためなら命さえ投げ出すのです。

【仲人口(なこうどぐち)】

ただ、私たちが注意すべきなのは、この憂き世には、悪魔の心を持った人間はいくらでもいて、彼らは平然と「陰ほめ口」を悪用し、人の心を操る、ということです。

彼らは、第三者を介した伝聞という情報伝達のスタイルを駆使して、いくらでも、あなたの心を「間接コントロール」しようとするのです――(メルマガ『富田隆のお気楽心理学 https://www.mag2.com/m/0001685118』2023年7月8日号より一部抜粋。続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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