プーチンの手のひらで「偽装反乱」を演じただけ。プリゴジン社長のクサイ茶番劇

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先の見えないウクライナ戦争ですが、先日のロシア民間戦争請負会社「ワグネルの乱」は、世界中に衝撃を与えました。いま世界で、ロシアで、ウクライナで、何が起きようとしているのでしょうか。メルマガ『浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』』の著者である、国際政治学者の浜田和幸さんは、あの「乱」を偽装と断じて、その裏側を推測しています。

あれは「偽装」だった?プリゴジン社長の“腹の内”

ぶっちゃけ、ウクライナ戦争はNATO諸国の思惑通りには展開していません。

そもそも、今回の戦争の発端は2013年から2014年にかけて起きたウクライナのヤヌコヴィッチ政権の転覆劇にあります。

これは当時、アメリカがロシア寄りのウクライナの政権を潰したのですが、そのことが始まりでした。

その後、ウクライナ東部や南部でロシア軍が介入し戦火が広がりましたが、ロシアとウクライナの間では和平に向けての交渉と合意が成立。

ところが、アメリカが介入して、その合意を覆させ、戦争の拡大に誘導していったわけです。

欧米の軍需産業にとっては「美味しい汁」にありつけたと言っても過言ではありません。

そんな中、ロシアの正規軍に代わってウクライナの激戦地で戦果をあげてきたのが戦争請負会社「ワグネル」でした。

プーチン大統領の後押しで潤沢な資金を確保して、ウクライナに限らず中東やアフリカ各地で独裁政権を守りながら、天然資源の採掘権を手に入れ、莫大な利権を享受してきました。

当然ですが、その多くはプーチン大統領の懐も潤しています。

6月24日にプリゴジン氏はウクライナからワグネルの兵士らを呼び戻し、モスクワに向けて進軍させるという「反乱」を宣言したとして、世界の注目を集めました。

しかし、この反乱劇はあっけなく1日で終わりを迎えることに。

プリゴジン氏は隣国のベラルーシへ亡命することで、プーチン大統領からは反乱の責任を問われないとの妥協が成立したと説明されました。

ところが、プリゴジン氏はベラルーシには関心がなく、ロシアのサンクトペテルブルクやモスクワに出没し、アメリカのワシントンにも向かうとの観測まで出る有様です。

その間、モスクワの大統領府ではプーチン大統領の招きで3時間も会談しています。

こうした経緯から伺えることは、先の反乱騒動は「目くらまし」だったということです。

そもそも、モスクワへの「正義の行進」に参加したのはごく少数のワグネルの兵士だけで、将軍クラスは一人もいませんでした。

また、進軍に加わった戦車とか軍用車両も数十台に過ぎなかったのです。

要は、欧米のメディアが「軍部内の分裂」とか「プーチン時代の終わり」と騒ぎ立てただけの話でした。

実際には、この疑似クーデター騒ぎに踊らされ、プーチン大統領に反旗を翻す動きを見せたロシア軍幹部の一部が逮捕、拘束されることに。

その上、ワグネルの隊員の3分の1ほどはロシア軍との契約を結び、正規軍に組み込まれることにもなったのです。

ぶっちゃけ、「大山鳴動して鼠一匹」といった感じで、ほくそ笑んでいるのがプリゴジンを操るプーチン大統領という茶番劇に過ぎませんでした。

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image by:Koshiro K/Shutterstock.com

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