禁煙の薬が「アルコール依存」を解消させる可能性があるって本当?

Ice cold lager or beer with a burning cigarette resting on a glass ashtray on a rustic wooden counter in a tavern, nightclub or pub, low angle close upIce cold lager or beer with a burning cigarette resting on a glass ashtray on a rustic wooden counter in a tavern, nightclub or pub, low angle close up
 

世の中にはさまざまな依存症がありますが、タバコとお酒は私達のごく身近にあるものですよね。今回のもりさわメンタルクリニックの無料メルマガ『精神医学論文マガジン』では、ニコチン依存とアルコール依存の関係と、「禁煙の薬がアルコール依存解消に役立つかもしれない」という画期的な論文を紹介しています。

禁煙の薬がアルコール減量にも効果があるかもしれない

ニコチン依存とアルコール依存は合併することが多く、片方が改善するともう一方も良くなることがあります。

今回は、禁煙に使用されるバレニクリンやシチシン、ニコチン(ここではスプレー)使用がアルコール量に与える影響について調べた研究をご紹介します。

Effectiveness of Varenicline and Cytisine for Alcohol Use Reduction Among People With HIV and Substance Use
A Randomized Clinical Trial

HIVと物質障害を伴っている場合の、アルコール摂取減量に関するバレニクリンとシチシンの有効性

HIVと物質障害を伴っているアルコール摂取、喫煙者400人(平均39歳、平均喫煙21本/日)が対象となりました。

バレニクリン、シチシン、ニコチン(ここではスプレー)を偽薬と実薬で組み合わせてグループを作成し、それぞれの効果が分かるように比較を行いました。

結果として、以下の内容が示されました。

・バレニクリンとシチシンはニコチンよりアルコール摂取において有効ということはありませんでした。

・全てのグループで禁煙率は高くなっていましたが、各グループでの違いは分かりませんでした。

・全てのグループでアルコール摂取が非常に多い日(痛飲 Heavy Drinkingの日)が少なくなっていました(例として、バレニクリンの実薬を使用した場合には、痛飲の日が9.5→2.0日/月と減少)。

要約:『禁煙に使用される薬剤は、アルコール摂取を減らすためにも役立つ可能性がある』

論文の中でも触れられているように、喫煙と飲酒を行う場所は共通である場合も多く、心理的な要因も影響すると考えられました。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 もりさわメンタルクリニック 【発行周期】 日刊

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