ソフトバンク社長が“シビれた”。楽天の「最強プラン」名称問題

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広告業界やメディアにおいては、客観的なデータの明示なく最上級表現や最大級表現を使うのはご法度で、社会的責任が大きい企業も微妙な表現で購買や契約を煽るのは避けるもの。そうしたなか、通信業界をざわつかせているのが、楽天モバイルが打ち出している「最強プラン」という名称です。今回のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』では、ケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川さんが、この名称への見解をソフトバンク宮川社長に直接質問。その正直な感想とともに、ナンバーポータビリティのワンストップ化を機に攻勢をかける楽天への懸念を示しています。

宮川ソフトバンク社長が楽天モバイル最強プランに「シビれる」──データ専用契約の本人確認厳格化にも言及

某キャリアが「楽天モバイルの『最強プランって言い方、どうなのよ』」と各メディアを焚きつけて回っている。ただ、それだけ記事化するのはなかなかハードルが高いので、8月4日に行われたソフトバンクバンク決算会見で、宮川潤一社長に「最強プランという言い方、どう思います?」と単刀直入に質問をぶつけてきた。

すると宮川社長はなぜか「ありがとうございます」と言いつつ「名前をつけるのは、企業の自由。外部からコメントする立場では無く、実害はないので静観していたが、顧客に誤認される可能性が出てくるということで、現場が総務省と打ち合わせしているという話は聞いている」と回答してくれた。さらに個人的な見解として「なかなか、シビれるという感じで見ておりました」とも語ってくれた。

かつては、ソフトバンクもいろいろとヤンチャしてきたイメージがあるが、そんな経験があるソフトバンクだからこそ、いまの楽天モバイルの立ち振る舞いは看過できないのかも知れない。

楽天モバイルは5月24日から始まったMNPのワンストップ化を契機に、楽天銀行などのユーザーに対してワンクリック契約を提供しはじめている。現在はデータプランのみの提供だが、楽天モバイルとしては音声契約のMNPでも対応させるつもりのようだ。三木谷浩史会長は「8月には提供したい」としているが、楽天モバイルのオフィシャルコメントとしては「白紙」というのが正しいようだ。

そんなワンクリック化に対しても、宮川社長は「犯罪防止の観点からも本人確認はとても重要」だとしている。今の時代、データ通信だけであっても、音声通話アプリを使えば、電話のように利用できる。宮川社長としては、法整備自体を見直し、本人確認が不要なデータ通信契約専用回線を本人確認必須にするよう総務省に働きかけたいとしている。

ソフトバンクからの横やりに対して、総務省はどのように動くのか。確かに本人確認については050番号に対しても、契約時の本人確認を義務化するという動きがでている。ここ最近、電話による詐欺行為を撲滅しようと本人確認を強化する雰囲気になりつつある。

そんななか、楽天モバイルは音声契約でもMNPのワンクリック化を実現できるのか。ソフトバンクが総務省にどのように耳打ちし横やりを入れていくのか。また、ソフトバンクに続くキャリアは現れるのか。楽天モバイルの命運は総務省の判断に左右されることになりそうだ。

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日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

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