橋本龍太郎内閣が進めた「票」に繋がる官僚のスリム化
30年近く前のことなので、忘れてしまった人も多いかもしれませんが、1996年の最大の政治課題は「行財政の構造改革」でした。
当時、橋本龍太郎内閣は消費税増税も含めた包括的なプラン作りに取りかかり「行政改革・財政改革・社会保障改革・金融システム改革・経済構造改革・教育改革」という6大改革の方針を発表し、中央官庁のスリム化を進めました。
この官僚のスリム化は、まさに“票”につながる政策。キャリア官僚のさまざまな問題が露呈し、毎日のようにテレビでは官僚バッシングが行われました。政治主導という言葉は…結構魅力的だったんですよ。
本来であれば、国の人口構成が急速に変わり、公務員が必要なのに、人手不足問題は完全にスルー。待遇面ばかりがクローズアップされ、数少ない公務員を余計に追いつめたことになってしまったのです。
経済協力開発機構(OECD)の“Goverment at a Glance 2017”のデータを使って大阪大学の北村亘教授らが調べたところ、日本の公務員の1人当たりの仕事量は他の先進民主主義国に比べて圧倒的に多く(政府全体の歳出を公務員数で割った数で比較)、中央政府の人件費が中央政府全体の支出に占める割合も低いことがわかっています。
そして、人手不足を補うために非正規雇用を増やすことで対応し続けている。政治家との関係性を見直すことなく、ただただ非正規を増やしているのです。
国家公務員は、正規職員26.5万人余に対して非常勤職員は7.8万人余(2017年)。非正規率は22.7%で、省庁別に見ると厚生労働省が圧倒的に多くて3.4万人、52.6%と半数以上が非正規公務員です。
繰り返しますが、今回の国家公務員の処遇改善には大賛成です。しかし、政治家との関係、非常勤職員問題など、問題は山積しています。このままで本当にいいのか、ニッポン?!
みなさんのご意見、お聞かせください。
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