24日に海洋放出が開始された、福島第一原発の「処理水」。これに対して国内外から猛反発が起きていますが、福島を訪問しながら大した説明もせずに放出をお願いした岸田首相にも批判が殺到しています。メルマガ『和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」』の著者で精神科医の和田秀樹さんは、安全性をきちんと説明しなかった岸田首相を批判するとともに「私が岸田氏と同じ立場であれば、間違いなく(処理水を)飲む」と、持論を展開しています。
岸田文雄首相が福島の「処理水」を飲むべき理由
政府は8月22日、関係閣僚会議を開催し、トリチウムなどの放射性物質が含まれる原発処理水を海洋に放出することを決定したとのことだ。これに伴い、東京電力ホールディングスが8月24日に放出を開始したようだ。
もちろん、漁業関係者は反対するし、中国は日本産輸入食品の放射性物質の検査を大幅に厳格化したそうだ。また、香港は放出が開始された場合は輸入規制措置を強化すると言明している。国内の風評被害も起こりかねない。
東電は風評被害には補償すると言っているが、漁業への影響はかなり大きいだろう。
ただ、私が問題にしたいのは、岸田氏を初めとする、政府関係者の無知と度胸のなさだ。
放射性物質というと、今では怖いもの、身体に悪いものの代名詞のように言われているが、自然放射能が日本の平均の3倍くらいある鳥取の三朝温泉あたりでは、がんの発生率が日本の半分くらいだという。
三朝温泉に限らず天然のラジウムの出る温泉のある地域では、身体にいいといって温泉水を飲むのが当たり前だった。
もちろん、核種によって体への吸収率が違うし、半減期も違うが、基本的には放射能というのはどれだけの強さ(ベクレルで示される)かどうかが、影響力を示すものであって、物理現象である。
化学現象と違って元素は関係ない。
同じ100ベクレルであれば、ラジウムであれ、プルトニウムであれ、ウランであれ関係ない。
ラジウムの放射能は体にいいが、ウランは怖いというわけではないのだ。
それを考えるとトリチウムというのは日本語では三重水素といって、基本的にはそれそのものは無害な物質であるし、そこから出る放射能がとくべつに怖いものでない。
きちんと処理されているというのが本当であれば、飲むことは、大量でなければほぼほぼ無害である。
そんな当たり前の科学的知識もない上に、それを飲む度胸もないから、余計な風評被害が起こる。
岸田氏が福島県を訪問しても、ただただ海洋放出を決めるだけで、「こんなもん安全ですから」と飲むこともできないことが問題だ。そんなビビり(だから東大に3回も落ちたのだろう。こんな奴には戦争はできないのだから、武器等買わずおとなしくしておいた方がいい)だから、国民に安心感を与えることができない。
まして東電の小早川という社長は東京工大を出た理系の社長なのだから、処理水を飲んでも安全なことがわかっているはずだ。もしそんなこともわからないのなら、原発の社長をやる資格はない。漁業関係者に会っていろいろなことをいう前に、「大丈夫ですよ」と言って飲めばいい話だ。
岸田氏に処理水を飲めというのは、嫌がらせでなく、その人の知識と度胸を試すだけのものだ。私がその立場にいれば、間違いなく飲む。ただ、ラジウム温泉水はあまりおいしくなかったが。
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