先日掲載の「『統一教会のために死ね』の意味か?韓鶴子総裁の“特攻隊”トンデモ発言」でもお伝えした通り、秒読み段階に入ったとされる旧統一教会への解散命令請求。教団について、高額献金や霊感商法などの組織性、悪質性、継続性が確認されたとのことですが、教団が集め韓国へと送られた金はどれほどの額でどこに流れているのでしょうか。今回のメルマガ『有田芳生の「酔醒漫録」』で、長年統一教会と対峙してきたジャーナリストの有田芳生さんは、過去に文藝春秋と週刊文春が暴いた計19年ほどの期間で、約6900億円が送金されていたことを伝えます。そして次回、金の流れを明らかにする「韓国送金極秘資料」を公開すると予告しています。
動かぬ証拠が存在。統一教会が公開拒む「韓国送金極秘資料」
岸田文雄政権は、この1年大きな社会、政治問題となってきた統一教会=家庭連合に解散命令請求を出す方向で準備を進めている。その準備段階として、文化庁は宗教法人法に基づいて昨年11月から7回にわたって教団に質問権を行使した。
しかし約500項目の質問に対して、2割にあたる約100項目に回答はなかった。教団によれば「資料がない」といった弁明をしたと伝えられている。文化庁がいっさい詳細を明かさないので、何を聞き、何に答えなかったのかはわからない。そのもっとも核心になる問題は、日本の教団から韓国の本部にどれだけの送金が行われていたかだ。信者による霊感商法は多大な被害を生み出した。信者による献金も、安倍銃撃事件を起こした山上徹也の母の場合は1億円を超えていた。
あまり報じられなかったが、これほどの献金は例外ではなかった。いつから日本の教団は経済組織に変質し、どれほどの送金が韓国に行われてきたのだろうか。教団内部からの告発が原点だ。それは『文藝春秋』(1984年7月号)に掲載された副島嘉和『世界日報』編集局長、統一教会広報企画部長(本人は「広報局長」と書いているが、実際には「広報企画部長」)の「これが統一教会の秘部だ」とする手記である。
この手記は霊感商法の方法、脱税の手口、文鮮明教祖に天皇陛下役が拝跪する儀式、教理解説書『原理講論』日本語版から削除された韓国選民思想など、内部からしか見えない教団の実態があからさまに暴露されていた。
そこに記された「経済一本化」(1975年)から社会問題は拡大していく。文鮮明教祖は1975年7月、日本の教団に送金命令を出した。副島手記はこう書いている。
毎月二十億円、五十年七月の送金命令以来計二千億円余も送ってきた。
10年間に約2,000億円が韓国の本部=教祖に渡ったというのだ。
ここで注目すべきは捜査当局も教団が資金源として霊感商法を行っていることを知っていたことだ。
警察も充分承知している。教会側が懸命に否定する事業部門との結びつきについても、それを証明する多くの資料が存在する。
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統一教会が韓国への送金資料を文化庁に提出しない裏事情
1980年には経済担当副会長が新設され、教団の変質が進んでいった。さらに内部資料によると1999年からの9年間には約4,900億円が送金されている。『週刊文春』(2011年9月8日号)は、「日本から『4,900億円送金リスト』を独占入手!」という記事でこう書いた。
日本の統一教会から韓国への送金額が書かれた内部資料を入手した。ここには、九九年から約九年間の送金額が、月ごとに記載されている。もっとも多い月は〇〇年の四月で、百九十四億円あまり。年間でみると一番多いのは〇四年で、六百六十九億円が送られている。年平均にすると、約五百七十億円。総額では、この期間だけで約四千九百億円にも達する。
この資金は韓国のどこに送られていたのか。それは文鮮明教祖の夫人である韓鶴子氏が理事長を務めていた「宣教会財団」(当時)だとされていた。
教団を離れた元幹部(分派の3男派)が、韓国への送金は毎月「推計100億円」と何度も語り、文章にもしてきた。しかし『文藝春秋』副島手記も『週刊文春』記事も元幹部証言も、物証として根拠が示されていない。送金資料の現物が写真でも示されていないからだ。『週刊文春』の場合は取材源から止められていたようだが、実際に資料はあった。解散命令請求のひとつの原因になっているにも関わらず、統一教会が韓国への送金資料を文化庁に提出しないのは、それだけ隠しておきたいということでもある。
日本の統一教会は、いったいどれほどの資金を韓国の教団に送り、それは何に使われてきたのだろうか。教団が作成した実際の極秘資料を公開し、霊感商法や高額献金で集められた莫大な資金が、どこに流れていたかを、次号で明らかにする。
(『有田芳生の「酔醒漫録」』2023年9月29日号より一部抜粋)
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