ひろゆき氏の慧眼。高齢運転者をめぐって無知をさらけ出すTVコメンテーターたち

 

さて、それ以外にも、今回はテレビのコメンテーターたちが無知をさらけ出した。

これらの事故の多くが、「ボンヤリしていた」「覚えていない」という事故だという。

要するに意識障害による事故である可能性が高い。

それを指摘する人が誰もいない。

高齢者にいかに意識障害が多いかも知らないし、その原因が薬の飲み過ぎだということも知らない。ひろゆき氏と対談した際に、「飲酒運転を禁止するのに、薬のほうが危ないですよね」と素朴な疑問を投げかけられた。普通にものを考えられる人間なら、そう思うだろう。もちろん、ひろゆき氏が優秀なのだが、そういう人間がテレビのコメンテーターには誰もいない。それとも玉川徹氏が大好きな「電通」に止められて薬の副作用と言えないのかもしれないが。

ここで、認知機能テストだけでなく、運転技能テストもやれという話も出たが(高齢者にだけそれを強いるなら立派な差別だが)、意識障害による事故は運転技能テストをクリアしている人だって十分に起こす。実際、認知機能テストはまったく役に立っていないといっていい。池袋の事故だって、福島の事故だって認知機能テストはクリアしていた。おそらく運転技能のテストも池袋の運転者も、福島の運転者もクリアしていた。

薬を5種類以上飲んでいる人に、免許をサスペンドするというのなら話はわかるが、医師会と製薬会社が許さないだろう。

かつてはてんかんの人は運転を許されなかったが、「運転に支障するおそれのある発作が2年間ないこと」を条件に免許取得が許されるようになった。このノーマライゼーションの流れを、超高齢社会である日本では高齢者にだけは逆行するというのはどういうことだろう。

※本記事は有料メルマガ『和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」』2023年9月30日号の一部抜粋です。

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