無能さ極まる経済対策。増税クソメガネ岸田が祟られる“アベノミクス”の亡霊

 

安倍氏が2012年12月の総選挙でぶった粗暴極まりない演説

周知のように、安倍晋三は2012年12月の総選挙で「日銀の輪転機をグルグル回してお札を刷らせ、日銀に建設国債を全て買ってもらい公共投資をやる」と粗暴極まりない演説をして勝利し、第2次安倍政権を打ち立てた。そして13年3月、日銀総裁の首を黒田東彦にすげ替えてアベノミクスを発動した。その《第1の矢》が「異次元金融緩和」で、その時に134.7兆円だったマネタリーベース(世に流通している現金と日銀当座預金の合計)は今日までに約540兆円増えて、ちょうど5倍の674.4兆円(8月末)にまで膨らんだ。また同じく13年3月に125.4兆円にすぎなかった日銀の国債保有高は今では約450兆円増えて576.1兆円、国債発行残高の52.2%を占めるに至った(6月末)。

これだけお札を刷って、それをヘリコプターで撒くわけにも行かないから、市中銀行が持つ国債を買い上げて、その代金を各銀行が日銀内に置いている当座預金に振り込む。そうすると、各銀行はそこからお金を引き出して個人や企業に貸し付けるので、お金が世の中に出回ってたちまち2%程度のインフレ状態が現出し、経済が好循環に向かう――という予定であったのだが、全くそうはならなかった。理由は簡単で、世の中には需要があるのにお金が足りないから人々が消費しようとしないのだというリフレ派の経済ブレーンの見立てが全く見当違いで、世の中には需要がないのでいくらお金が溢れても人々は消費に走らない。車も買い替えないし家も建て替えないからローンの需要も起こらない。企業も内部留保を膨らませていて銀行に融資を頼む必要がない。

そうすると銀行は、日銀当座預金を引き出して世の中にお金を回す動機が生じないから、国債買い上げ代金はそのまま寝かしておき、僅かでも金利を得ようとする。その証拠に、13年3月に各銀行が日銀に置いている当座預金の総額はわずか47.4兆円だったのに、今日までに約500兆円も増えて543.6兆円に膨れ上がっている(8月末)。単純化して言えば、せっかく輪転機をグルグル回してお金を540兆円も増やし、450兆円も国債を買わせ、さらには上場投資信託(ETF)など日本株式も買わせたのだが、そのお金はほとんど日銀構内から出て行かなかったということである。それに気づいた黒田は16年にその預金の一部にマイナス金利を課してお金を無理やり引き出させようとしたが、それでもインフレは起きなかった。

この記事の著者・高野孟さんのメルマガ

初月無料で読む

print
いま読まれてます

  • 無能さ極まる経済対策。増税クソメガネ岸田が祟られる“アベノミクス”の亡霊
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け