米国をバックにパレスチナ人を排除してきたイスラエル
あまりにも複雑なので大マカにしか説明できませんが、現在、イスラエルやパレスチナがある地中海に面した地域は、もともとは「パレスチナ」という名前の地域でした。北はレバノンとシリア、東はヨルダン、南はエジプトに囲まれた中東のエリアで、真ん中には、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教などの宗教で聖地とされるエルサレムがあります。
で、2000年もの長きに渡る迫害によって、世界に散らばってしまったユダヤ人たちが、自分たちの国を造るために、ユダヤ教の聖地であるこの地域に集まり、1948年に造ったのが「イスラエル」という国でした。でも、この地には、もともと約70万人のパレスチナ人が住んでいたのです。世界から集まって来たユダヤ人たちが「イスラエル」という国を造ったことで、それまでこの地域に住んでいたパレスチナ人たちは、ヨルダン川西岸とガザ地区という2カ所に追いやられ、イスラエルの占領下に置かれてしまったのです。
つまり、自分たちの奪われた土地を取り戻そうと戦っているのがパレスチナであり、アメリカを後ろ盾にしてパレスチナ人の排除を続けて来たのがイスラエルなのです。でもこれは、そんな単純な話ではありません。そもそも、この地域は、2000年ほど遡ると、もともとはユダヤ人の暮らす土地だったのです。それが迫害や戦争によって追われてしまったのですから、ユダヤ人にしてみれば、自分たちの土地に戻って来ただけであり、そこに住んでいたパレスチナ人は、留守中に無断で自分の家に上がり込んでいた不届き者ということになるわけです。
その上、同じパレスチナの中でもハマスとファタハの勢力争いがあったり、パレスチナ人の地域であるヨルダン川西岸もユダヤ人の入植地になったりと、長年に渡る様々なアレやコレやが複雑に絡み合い、もはや単純に白黒をつけられない状況になっているのです。日本のマスコミが「イスラム系武装勢力」と呼び、まるでイラクのISILなどと同等に扱っているハマスにしても、もともとは2006年1月のパレスチナ選挙で、市民から選ばれて政権を獲得した正式な政府だったのです。
アメリカをバックにつけ、圧倒的な物量作戦で無差別空爆を繰り返し、子どもや女性やお年寄りたちを数えきれないほど虐殺して来たネタニヤフ首相率いるイスラエル軍に対して、自分たちの命を守るためには武装系であるハマスに統治してもらうしかないと、ガザ地区の人たちが選択したのです。しかし、今のロシアとウクライナを見れば分かるように、武力に対して武力で対抗しても状況が好転することはありません。
ちなみに、ハマスがガザ地区を統治してから、イスラエルとの大規模な戦闘は、2006年、2008年、2014年の3回発生していますが、その時の両国の死者数を見てください。
【2006年】
パレスチナの死者 409人
イスラエルの死者 7人
【2008年】
パレスチナの死者 1,330人
イスラエルの死者 13人
【2014年】
パレスチナの死者 2,143人
イスラエルの死者 72人
これ、どう思いますか?イスラエルはアメリカをバックにつけた物量作戦で、最新鋭のミサイルをガザ地区へジャンジャン撃ち込むことができますが、資金も乏しくインフラまで断たれてしまっているガザ地区は、やっとのことでイスラエルに届く程度のロケット弾を単発で発射することしかできなかったのです。
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