かつての勢いは消滅。キャリア評価4視点全てで落ちたNTTドコモの競争力

Osaka,japan,-,July,2,2022:ntt,Docomo,Logo.,Ntt,Docomo,,Inc.,Is
 

前回の記事「後出しジャンケンなのに“負け”。NTTドコモ「ネットワーク品質改善説明会」の大失態」で、ネットワーク品質の低下問題について、ドコモ側が利用者の不満を理解していないと指摘したケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さん。その問題に関連して出演した「ABEMA」で、今ドコモを選ぶ理由があるか訊かれて即答できなかったそうです。今回のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』では、キャリアを評価する4視点全てで競争力が落ちていると厳しく指摘。NTTグループが一体化すれば脅威との見方にすら疑問を呈しています。

いま、NTTドコモを選ぶ理由はどこにあるのか──競合3社が恐れる「NTTグループ一体化による競争力アップ」は本当か

10月17日夜、Abema Primeに出演した。当日朝に連絡があったのだが「NTTドコモのネットワーク品質問題を取り上げたいから出演して欲しい。ウチの総合演出がドコモを使っているのだが、ネットワーク品質が悪すぎて文句を言っているのが企画の発端」とのことだった。

今回、出演したあと、大いに反省し、落ち込んでしまった。番組中、「なぜネットワーク品質が落ちているのか」などを説明していくなかで、他の演者から「いま、NTTドコモを選ぶ理由ってありますか」と単刀直入に聞かれ、すぐに即答できなかったのが本当に悔やまれて仕方ないのだ。

これまで色んな情報番組に生出演し、台本にはないコメンテーターからの突発的な質問にも比較的、応えられてきたつもりであったが、今回ばかりは天を仰いで何も言えなくなってしまった。

その後、あまりに何も思いつかないので、X(旧:Twitter)で意見を求めたところ「ahamoなら海外でも20GBがそのまま使える」というのと「山奥など僻地でつながる」という声が寄せられた。「今のドコモの魅力はこれだけなのか」と思いつつ、ただ「海外で20GB使える」「僻地でも使える」という答えをAbema Primeの場でして、どれだけ他の演者や一般ユーザーの納得感を得られるかは、正直言ってかなり微妙な気がしている。

NTT法の見直し議論のなかで、競合3社が「NTTグループが一体化すると、競争力が増大し、公正競争の観点で問題」と指摘するが、本当にNTTグループは一体化することで強くなることができるのだろうか。

実際のところ、NTTがNTTドコモを完全子会社化したものの、最近はネットワーク品質が落ちまくって、かつての「ネットワーク品質は断然、NTTドコモ」といった信頼感が欠落。競争力を発揮できてない。全国にあるドコモショップ網も閉鎖が相次ぎ、リアルの場でサポートしてくれる安心感も減ってしまった。

料金プランも改定されたが、他社のように金融商品やNISAとも連携できず、他社に大きく出遅れている感が強い。

端末も、OPPOやXiaomiと言った中国系メーカーを全く扱っていないだけに、他社に比べてラインナップの幅が狭くなってしまっている。キャリアのチカラを分析するのに「ネットワーク」「料金」「サポート」「端末」という4つの視点があると言われているが、そのどれにおいても、今のNTTドコモは競争力が落ちてしまっている。

NTTドコモはコンシューマより法人で儲けようとしているが、法人もネットワーク品質が悪ければ選ばないだろう。

競合3社は「NTTグループの競争力が上がるのが脅威」というロジックでNTT法の廃止を阻止しようとしているが、いまのところは競争力が落ちており、この主張が通用しないのが、なんとも寂しい限りだったりする。かつて、イケイケだったNTTドコモは何処に行ってしまったのか。

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日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

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