ハマスのイスラエル攻撃に“一枚噛んでいた”北朝鮮。砲弾に書かれたハングルの文字
Israel flag and black RPG-7 rocket-propelled grenade launcher in red blood. Concept for terror attack or military operations with lethal outcome
イスラム原理主義の武装組織ハマスがイスラエルを奇襲攻撃したことで始まったガザ危機。その攻撃に「北朝鮮」が一枚噛んでいたことがわかり、何やら“きな臭い雰囲気”が漂ってきています。今回のメルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』では宮塚コリア研究所副代表の宮塚寿美子さんが、北の武器供与疑惑を含め、一連の韓国での現地報道を詳しく解説しています。
北朝鮮、敵の敵は味方。ハマスに武器提供か!?
朝鮮半島の緊張が続く中、2023年10月7日、中東のイスラエルは、ガザ地区においてパレスチナのスンニ派のイスラム原理主義のハマスの奇襲を受け、大量の非人道的な殺人が起きてしまった。
現在に至るまで、双方の攻撃が続き戦争になってしまった。
同じユーラシア大陸の反対側で起きていて、対岸の火事かと思いきや、北朝鮮が一枚かんでいることがわかった。
韓国軍合同参謀本部は10月17日、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム主義組織ハマスが北朝鮮製武器を使っているとし、ハマスと北朝鮮が武器取引で「直接・間接的に連携している」とする分析を発表した。韓国軍によると、ハマスが使っているロケット弾は北朝鮮が輸出したロケット弾「RPG7」だとみられる。ハマス傘下の武装組織が使ったとみられる砲弾にはハングルが書かれていた。
北朝鮮が別の国や武装組織に輸出した武器が間接的にハマスに渡った可能性もあるという。今回のハマスの攻撃について、休日早朝の奇襲や多数のロケット弾発射など、韓国軍が想定している北朝鮮の攻撃と類似しているといい、「北朝鮮が戦術を伝えたり訓練を支援したりした可能性がある」と指摘した。北朝鮮が今後、ハマスの攻撃を分析し、韓国への攻撃に活用する可能性があるとして警戒感を示した。こうした週末の早朝の奇襲に関して、国連の安全保障理事会が開きにくい状況を把握して意図的に狙っているという見解もできる。人々が1週間の中で最も緊張感のない平和な時間帯を一気に暗黒の現実に落とすやり方だ。
北朝鮮はこの韓国軍の分析について、10月13日、朝鮮中央通信で「根拠のないデマだ」と否定している。ロシアにも武器提供をしているとされており、北朝鮮の茶番のようにも見える。
北朝鮮は過去に、シリアに作った核施設をイスラエル軍によって破壊されたことがあり、敵の敵は味方の論理で、イスラルの敵国などとは積極的に接近している。
一方、アメリカのバイデン大統領は18日にイスラエルの現地入りし、イスラエルのネタニヤフ大統領と会談し軍事支援を約束した。また、19日に米国に戻り、ホワイトハウスで、国民向けに演説し、イスラエルとウクライナに対する多額の追加支援の重要性を訴えた。
「世界をまとめるのは米国のリーダーシップだ。米国の安全を守るのは米国の同盟関係だ」と強調した。また、「(イスラム組織)ハマスと(ロシア大統領の)プーチンは異なる脅威だが、共通しているのは両者が隣国の民主主義を滅ぼしたい点だ」とも述べた。ハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザの病院で起きた爆発について、イスラエルの責任ではないとしつつ、「平和に暮らし、機会を得たいと願うだけの罪のないパレスチナ人の人間性を無視できない」と語った。
韓国と北朝鮮のような朝鮮半島を巡る問題と異なり、中東地域の問題は、宗教・民族と言うより深いところに問題の根底がある。その分人々の悲しみや憎しみは果てしないだろう。
(宮塚コリア研究所副代表・國學院大學栃木短期大學兼任講師 宮塚寿美子)
※本記事は有料メルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』2023年10月20日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。各月550円です。
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image by: Mehaniq / Shutterstock.com
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