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安倍氏が自民にスカウトした“ネトウヨのマドンナ”杉田水脈とはいったい何者か?

とても政治家とは思えぬ聞くに堪えないヘイトや差別的な発言を繰り返し、自らの品位をひたすら落とすことに余念がない自民党の杉田水脈衆議院議員。なぜ彼女はかような発言を連発するのでしょうか。今回のメルマガ『神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図──政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!』では投資コンサルタント&マネーアナリストの神樹さんが、杉田氏の経歴やこれまでの「暴言」を改めて紹介。その上で、彼女が「特異な発言」をやめようとしない理由を読み解いています。

特異な発言でネトウヨに大人気!杉田水脈とはいったい何者か?

みなさま、こんにちは!

「衰退ニッポンの暗黒地図」をお届けするマネーアナリストの神樹兵輔(かみき・へいすけ)です。

今回は、「特異な発言で注目を集める杉田水脈とは何者か?」というテーマでえぐっていきたいと思います。

読者の皆様は、衆議院議員の「杉田水脈(すぎた・みお)」氏という名前を聞いて、いったい何を思い起こすでしょうか。

「数々の問題発言をしてきた人」
「ジェンダー(社会的性差)差別発言の人」

……などと、マイナスイメージでとらえて答える人が多いでしょうか。

要するに、かなり特異な発言をすることで、世間から叩かれてきた──という印象が強い人なのです。

つい先日も、2016年スイスで開かれた国連女性差別撤廃委員会の参加者について、「チマ・チョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場。完全に品格に問題があります」と書き込んだブログやツイッター(現X)への投稿が問題視されています。

札幌法務局は、委員会に参加したアイヌ民族女性による人権救済の申し立てを受け、杉田氏による「人権侵犯」を認定したことがニュースでも報じられています。

こうした特異な発言で、しばしば問題視され、世間を騒がせてきたのが杉田水脈衆議院議員なのでした。

いやはや、あちこちから批判を受けようとも、言動への謝罪や撤回を求められても、けっしてくじけず一貫して「私は差別はしていない」などと認めることもなく、ある意味では鉄面皮ですごい人(?)のようなイメージなのです。

つまり、なんというか、「踏まれても踏まれても、芽を出す雑草のような強靭な精神の持ち主(?)」のような人でもあるのです。

とまあ、これらはちょっと、適切でない表現かもしれません(笑)。いろいろ、この人を持ち上げている──と思われるのも心外だからなのです。

ここで、ざっとこの杉田水脈氏の経歴を辿っておきましょう。

1967年4月兵庫県垂水区生まれの56歳。

鳥取大学農学部林学科卒業。

積水ハウス木造株式会社(のちにセキスイハウスと合併)や兵庫県西宮市役所勤務を経て、「みんなの党」、「日本維新の会」、「次世代の党」などを経て、現在は自民党に所属する現職の衆議院議員(3期目)です。

現在、結婚30年で娘(26歳)さんも一人いるそうです。

杉田水脈氏が、衆議院議員の初当選を飾ったのは2012年12月でした。

「日本維新の会」から出馬した兵庫6区の小選挙区では敗れたものの、比例復活(比例近畿ブロック)で議席を獲得しています。

その後、「次世代の党」の結党に参加し、2014年12月の総選挙では敗れますが、この落選中にネット番組に出演したり、著述や講演活動を続け、慰安婦問題にも取り組みます。

特筆すべきは、国連人権委員会の小委員会「女子差別撤廃委員会」で「クマラスワミ報告」の撤回を要求するスピーチを行うなどの活動でした。

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従軍慰安婦の存在を否定したことで、自民党のマドンナに!

「クマラスワミ報告」とは、「女性に対する暴力の原因や結果」などについての報告書で、スリランカ出身で人権問題専門家のラディカ・クマラスワミ女史(ニューヨーク大学法学部教授、1994年から2003年まで国連事務次長)による報告書のことなのです。

このクマラスワミ氏が、国連人権委員会の特別報告者に3年間任命され(1994年~)、毎年調査報告を行ったことを指しています。

このうち、1996年1月に提出された戦時中の日本軍が行ったとする、朝鮮半島出身女性への「性奴隷制」という記述が、事実誤認に基づくものとして、日本国内でも注目を浴びたものなのでした。

つまり、この事案において「従軍慰安婦」問題などはなく、民間業者による単なる私娼募集にすぎなかった──という今日に連なる大きな議論を提起したものだったのです。

当時の朝鮮半島の新聞では、一般人女性向けに堂々と高額報酬の私娼の募集が行われていたのも、たしかな事実でした。

ゆえに、日本軍による慰安婦や強制連行などというのは事実無根であり、そんなものはなく、民間業者による単なる売春の営業行為だった──という、今日まで議論のベースとなる大きな問題となったものです。

旧日本軍の名誉にもかかわる──といえる事案なのでした。

とまれ、ここにおいて杉田水脈氏は、国連の人権委員会の小委員会「女子差別撤廃委員会」で、こうしたクマラスワミ氏の報告書の撤回を求めたのでした。

選挙に落選中とはいえ、杉田氏のこの行動は、これはこれでファイティングスピリットまんまんの行動だったといえるでしょう。

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故・安倍晋三首相の目に留まり、自民党に引っ張られた!

こうした活動が、故・安倍晋三首相との交流につながります。

もともとの地盤だった兵庫県から、とっとと自民党に鞍替えし、縁もゆかりもないのに、安倍氏の地元・自民党の山口県連に加えてもらったのでした。

そして、杉田水脈氏は、2017年10月に行われた衆議院議員選挙に自民党の比例中国ブロック名簿の最上位に登載され、所属政党を換えて、2度目の当選を果たすことになるのでした。

さらに、次の2021年10月の衆議院議員選挙においても、自民党の比例中国ブロック名簿では単独登載され、3期目の当選を飾っていたのでした。

2017年の選挙といい、2021年の選挙においても、いずれも小選挙区からの出馬はないのです。

自民党が圧倒的に強い保守王国といわれる比例中国ブロック(鳥取、島根、岡山、広島、山口)から出馬させてもらえる──という、これだけでも杉田水脈氏が自民党内において、いかに優遇されてきた存在であるかが窺えるでしょう。

ここにきて一躍自民党のマドンナになってしまっていたのです。

とまれ、故・安倍晋三氏の強力な後ろ盾があったがゆえに、杉田水脈氏は、これまで議員活動を続けてこられたともいえるわけです。

しかも、この杉田氏は、いろいろ問題発言をやらかすたびに、世間からは注目を集め、なんと自民党内では快進撃の出世を続けてきたのです。

2022年8月12日には、第2次岸田文雄内閣の改造人事において、杉田水脈氏は総務大臣政務官に任じられます。

この時、杉田氏は名誉棄損で訴えられ、係争中の身だったにもかかわらずです。

それは、故・安倍首相と昵懇だった当時のTBS政治部記者・山口敬之氏による性暴力被害に遭った伊藤詩織さんから訴えられた裁判のことでした(山口氏には同意なき性行為があったとして332万円の賠償命令判決が確定)。

伊藤さんを誹謗中傷するツイッターへの投稿25件に対して、杉田氏が「いいね!」を押していたことが東京地裁で「名誉棄損」にあたるかどうかが争われていた最中だったのです。

ゆえに、岸田首相の杉田氏の政務官任命の判断には驚かされたのです(東京地裁は10月22日に名誉棄損として杉田氏に55万円の賠償を命じましたが、杉田氏は11月2日判決を不服として上告しています)。

そして岸田首相は、杉田氏を総務大臣政務官に任じたことを国会でもとことん擁護します。

野党は、杉田氏の政務官としての資質を問題視したのですが、岸田首相は、杉田氏の任命は「人事は適材適所」「職責を果たす能力をもった人物」などと反論を続けたのです。

とはいえ結局、杉田氏は、昨年12月27日に自ら辞表を提出して政務官を辞めざるをえない羽目に陥っています。

しかしながら、またしても自民党は、今年9月29日の総務会で、自民党環境部会長代理に杉田水脈氏を起用したのでした。

これまた、自民党はどうなっているのだ?──と物議を醸しましたが、そのまま通っています。内閣での公職ではなく、党内人事だからです。

これが、自民党流の「女性活躍」の本懐だった──というわけなのでしょう。

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杉田水脈氏の問題発言語録!

ここで、杉田水脈氏のこれまでの主だった特異な言行をカンタンに振り返って見ておきましょう。

とにかく意表を突いているので衝撃的です。

人権も何もかも、へったくれもないような発言が目立ちますが、ホントにこれでも政治家なのでしょうか。

杉田氏をあくまでも比例上位の名簿に登載する──この自民党の人権感覚が大いに疑われるのは間違いないところでしょう。

なぜ、こうした発言を繰り返しているのでしょう。

ひとついえるのは、何たって目立つからでしょう。

つまり、確信犯というやつなのです。

世間的にはバッシングを受けても、「私は差別は絶対あってはならないと思う」と一方で宣しているのですから、X(旧ツイッター)のフォロワー数が35万人以上にものぼる杉田氏の発言を擁護する声もまたファンの間で巻き起こるからなのです。

今や、SNSの政治家ランキングでフォロワー数ベスト17位以内に入る常連なのが杉田氏です。

ネット右翼のファンたちが、杉田氏のトンデモ発言の真意を読み解いてくれ、杉田氏への熱い声援が送られるのです。

岸田首相は、国連総会での演説で「人間の尊重」「目指すべきは人間の尊厳が守られる世界」と訴えながらも、同じ党内には、杉田氏のような発言を平気で垂れ流す議員がまだまだ散見されます。

杉田氏がたとえ、次回の選挙で自民党から公認されない事態が起きたとして政界から消えたとしても、きっとまたネット右翼を喜ばせようと、特異的に目立つ発言をする議員が次に生まれてくることなのでしょう。

こんな問題で多様な議員がいるなどと、「多様性」を誇っている場合ではないのです。

自民党は、世襲、反日(旧統一教会)、売国(米国の言いなり)の政権であるだけでなく、特異な発言も平気で行う議員を囲っている政党であることを忘れてはいけないでしょう。

議員としての品格をもって、政治に臨んでいただきたいのです。

では、今回はここまでといたします。

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image by: 杉田水脈 - Home | Facebook

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投資コンサルタント&マネーアナリスト。富裕層向けに「海外投資懇話会」を主宰し、金融・為替・不動産投資情報を提供。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 経済の話』 『面白いほどよくわかる最新経済のしくみ』(日本文芸社)、『経済のカラクリ』 (祥伝社)、『見るだけでわかるピケティ超図解――21世紀の資本完全マスター』 (フォレスト出版)、『知らないとソンする! 価格と儲けのカラクリ』(高橋書店)など著書多数。

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【著者】 神樹兵輔 【月額】 ¥660/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎週月曜日

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