在日米軍の要請で編成。ドラマ「VIVANT」で注目された“別班”の正体

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10月30日に裁判が結審した元隊員の五ノ井里奈さんへの強制わいせつ事件をはじめ、数々の不祥事が明るみとなっている自衛隊。国土防衛を担う組織は今、どのような「現在地」にあるのでしょうか。今回のメルマガ『ジャーナリスト伊東 森の新しい社会をデザインするニュースレター(有料版)』では著者の伊東さんが、慢性的な人員不足等を含む自衛隊が抱える問題を紹介。さらにかねてから主張されている「陸自縮小論」を解説しています。

プロフィール伊東 森いとうしん
ジャーナリスト。物書き歴11年。精神疾患歴23年。「新しい社会をデザインする」をテーマに情報発信。1984年1月28日生まれ。幼少期を福岡県三潴郡大木町で過ごす。小学校時代から、福岡県大川市に居住。高校時代から、福岡市へ転居。高校時代から、うつ病を発症。うつ病のなか、高校、予備校を経て東洋大学社会学部社会学科へ2006年に入学。2010年卒業。その後、病気療養をしつつ、様々なWEB記事を執筆。大学時代の専攻は、メディア学、スポーツ社会学。2021年より、ジャーナリストとして本格的に活動。

改善の余地なしか。セクハラやパワハラが絶えぬ自衛隊の現在地と行く末

自衛隊という組織が揺れている。昨年6月下旬、YouTubeに2本の動画が上がった。

「セクハラ告白 自衛隊を退職に追い込まれた女性」
「隊員15人に囲まれ強引に……」

若い女性が、言葉を慎重に選びながら自身が受けた性暴力の様子を赤裸々に語っている(*1)。

被害を受けたのは、五ノ井(ごのい)里奈さん(23歳)。2020年4月に陸上自衛隊に入隊。

彼女が入隊した動機は、5歳から始めた柔道を極めたかったこと、自身が被災者となった東日本大震災のとき支援してくれた女性自衛官への憧れ。

大学を中退して受験、合格する。半年間の研修期間を経て、東北方面の中隊に配属が決定したとき、

「あの中隊はセクハラがひどいらしい」

という噂を耳にしたという。だが初めての配属を拒否などできるはずもない。しかし着任すると早速、新入隊員の彼女への「セクハラ」が始まる。

他方、今年に入り、陸上自衛隊の高機動車が海外に流出していたことが発覚した。陸上自衛隊が解体処分するため民間業者に売り払ったはずの「高機動車」が、解体されないまま海外に不正流出していた。

主な流出先は東南アジアだが、その一部と思われる車両を、ロシア軍がウクライナ紛争で使用したという疑惑まで浮上。

6月30日には、防衛大学校等松春夫教授が「防衛大論考」を発表する。防衛大とは、将来、陸・海・空の各自衛隊の幹部自衛官となる者を育成する、防衛省の機関。

等松教授は、防衛大で、教育体制・事務体制から、教官人事・指導官人事、ガバナンスにいたるまで、重大な問題を長年にわたって放置してきた結果、学生の教育環境が危機的状況に陥っていると指摘した。

自衛隊は、日本の領土や領海、領空を守る組織。陸・海・航空自衛隊の3つの部隊に、計23万人の各自衛官、2万人の事務官を擁する。

1950年の朝鮮戦争に米軍が出撃して日本に軍事的な空白ができ、治安の乱れを怖れたGHQが日本に警察予備隊を作らせる。それが、のちに自衛隊となった。その組織に何が起きているのか。

目次

  • 相次ぐ「改善が期待できない」セクハラ・パワハラ
  • 自衛隊から高校・大学卒業時に届く「赤紙」
  • 日曜ドラマ「VIVANT」で注目された別班の起源

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