アルツハイマーの原因「アミロイドβ」除去薬に“気になる副作用”の可能性

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認知症の中でも原因の7割近くを占めるとされるアルツハイマー病。さまざまな治療薬があり、9月25日にはエーザイがアメリカの製薬会社と共同開発した「レカネマブ」が、日本でも正式に承認されて話題になりました。新薬には大きな期待とともに副作用の心配もつきもの。今回のもりさわメンタルクリニックの無料メルマガ『精神医学論文マガジン』では、レカネマブのような「抗アミロイドβ薬」の長期投与と脳体積減少の関連を分析したレポートを紹介。気がかりな結果が出ているとして、今後も長期にわたって検証する必要があると伝えています。

抗アミロイドβ薬による脳体積減少の加速

今までの抗認知症薬と異なり、アルツハイマー病で蓄積する物質(アミロイドβ)を除去する働きを持つ抗アミロイドβ薬が日本でも承認されました。

今回は、抗アミロイドβ薬が、長期の経過では脳体積減少と関連するのではないかという内容の分析(メタ・アナリシス)をご紹介します。

抗アミロイドβ薬による脳体積減少の加速
Accelerated Brain Volume Loss Caused by AntiβAmyloid Drugs
A Systematic Review and Meta-analysis

抗アミロイドβ薬と脳体積との関連を内容として含む31本の研究が分析の対象となりました。

結果として、以下の内容が示されました。

  • セクレターゼ阻害剤に分類される薬剤では、脳の体積が減少していました(例:海馬で偽薬との差が-37.1μL)。
  • アミロイドを標的とするモノクローナル抗体に分類される薬剤では、脳室が拡大していました(+2.1mL)。

要約:『抗アミロイドβ薬は長期の経過では、脳の体積を減少させるかもしれない』

アミロイドを除去する効果の方が大きいのかもしれませんが、様々な副作用が指摘されている薬剤なので、今後も全体として長期的に有効なのかを判断していく必要を感じました。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 もりさわメンタルクリニック 【発行周期】 日刊

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