和牛の電撃解散は「予言」されていた…実力あっても“慢心”がアダに。なぜ、お笑いコンビは“熟年離婚”するのか?

2023.12.13
by kousei_saho
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年末恒例の『M-1グランプリ』決勝を前に、お笑い界から衝撃のニュースが飛び込んできた。15年から5年連続でM-1の決勝進出を果たし3年連続で準優勝、漫才に新たな風を吹き込んだ人気お笑いコンビ「和牛」が来年3月に解散すると、所属事務所の吉本興業が12日に発表した。今後は同社に所属したまま、それぞれの道を歩むという。この発表を受け、ネット上は驚きと動揺の声が溢れる事態に。さらに、まるで「離婚発表」のような二人のコメントの出し方や報じられ方にも注目が集まっている。なぜ、結成17年のコンビは今になって“熟年離婚”を決意したのか。同業者のお笑い芸人たちからも驚きの声があがっているようだ。

漫才に対する熱量の差や方向性の違い

人気と実力を兼ね備えた「和牛」の解散を所属の吉本興業が発表したのは12日夜のこと。同社公式サイトに掲載された「和牛解散のご報告」には、それぞれが語った解散理由が紹介されている。

立ち位置向かって右、ツッコミ担当の川西賢志郎(39)は「3年ほど前から、僕はより舞台に力を入れたいという思いが強くなる一方で、水田の劇場出番への遅刻が続いたことをきっかけに、自分と彼との漫才に対する姿勢の違いが目立つようになりました」とし、ボケ担当の水田信二(43)は「きっかけは、3年程前に気の緩みから複数回の遅刻が重なったことでした。加えて漫才のパフォーマンスにおいて川西の要求に応えられないことがあり、漫才への取り組み方について川西との差を感じるようになりました」と、ともに「3年ほど前」の出来事と、漫才に対する熱量の差や方向性の違いが今回の結果に繋がったと吐露。

今後について川西は「今後も芸人活動は続けてまいります。新たに情熱をささげられるものを探し、見つけ、挑戦していけたらと思っています。具体的な活動に関して、皆様へお伝えできる日が来るよう、日々を精一杯に」とストイックに綴った一方で、水田は「川西のことは、絶対に大丈夫な人なので心配はしてません。僕自身のことはすごく心配だらけなのでこれまで以上に応援してください」と奔放な書きっぷりを見せた。


見事に果たした「M-1に出たい」という結成動機

06年12月、共通の知人の紹介により結成された和牛。愛媛生まれの水田と生まれも育ちも大阪の川西は年齢こそ異なるものの、ともにNSC(吉本総合芸能学院)大阪校26期の出身。しかしながら在学中に面識はなかったという。09年のABCお笑い新人グランプリ決勝戦進出を皮切りに頭角を現しはじめ、14年のNHK上方漫才コンテストで賞レース初の優勝。コンビの結成動機は「M-1に出たい」というものだったが、前述の通り15年から5年連続で決勝に進出し、M-1史上初の3年連続準優勝を果たす。21年にはTBS系の人気番組『情熱大陸』に「年間500ステージに立つ漫才師」として取り上げられるなど、熱意と実力は折り紙付きのはずだった。

あまりの衝撃に芸人仲間も次々とSNSコメントをポスト

そんな人気お笑いコンビの解散発表にSNSは大荒れ。数多くのコンビ解消を惜しむ声が投稿された。




和牛の解散に驚いたのは一般ネットユーザーだけではない。同業の芸人仲間たちも次々とSNSにコメントをポストするなど、衝撃の大きさは計り知れないものとなっている。






なぜお笑いコンビは“熟年離婚”するのか?

近年、“熟年離婚”するお笑いコンビが後を絶たない。今月5日にはみやぞん・あらぽんのANZEN漫才が結成15年目となる来年3月の解散を発表。22年末には結成23年のオジンオズボーン、同年5月には結成12年のピスタチオが解散、ザブングルは23年目の2021年3月にコンビを解消している。腹話術ネタで人気を博したゾフィーも結成10年という節目の今年11月にやはり解散。その理由としてよく聞かれるのが、価値観の相違からくる不仲やタレントへの転向、そもそも芸人に向いていなかった等々あるが、事情はさまざまだろう。

和牛の場合、M-1グランプリ決勝の常連だったことからくる「慢心」が、舞台やバラエティー番組で態度として現れていた可能性も否めない。ネット上では芸人界の大御所である上沼恵美子が過去のM-1で述べていた「説教」が、和牛のそうした一面を見抜いていたのでは、と話題になっているのだ。


ただの悪口か、それとも卓越した洞察力をお持ちなのか。本人のコメントを聞きたいところだ。

業界関係者が語る、コンビそれぞれの今後

コンビ解散後も引退することなく、芸人としての活動を続けていくという和牛の二人は、この先どのような道を歩むことになるのだろうか。放送作家としてテレビ各局に出入りしていた50代男性は、彼らの今後についてこう予測する。

「ボケの水田さんは絶妙なとぼけキャラに元板前さんという経歴も手伝って、ゆるい感じの仕事が舞い込み続けるのではないでしょうか。使い勝手もいい芸人さんとして重宝しそうな気がしますが、洒落にならない遅刻を繰り返すとなればその限りでもありません」

では、川西はどうか。

「漏れ聞くところによると、川西さんはかなり真面目で芸に対してもストイックだといいます。今回の決心の裏にはかなりの精神的ダメージもあると思いますので、まずは疲れを癒やすのが先決ではないでしょうか。実力は誰もが認めるところですから、かならず表舞台でトップを張れる日が来ると信じています」

「売れた」「有名になった」という驕りが、コンビの解散にまで発展してしまった和牛。どれだけ見た目が美味しそうであっても、真の価値が分かる人が見ればその本質は見抜かれてしまう。本人たちは「和牛」だと思ってはいたが、気づけば「ただの形成肉」になっていたと言ったところだろうか。ともあれ今は、ご両人それぞれの活躍を祈るのみだ。

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