近年しばしば耳にする、日本の国際的な地位の低下を懸念する声。しかし少なくともASEAN域内に関してはその限りではないようです。今回のメルマガ『在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤さんが、東南アジアにおける日本の信頼度を伝える英国有力誌の記事を紹介。その上で、「世界が日本に対して抱いている期待」を記しています。
世界のリーダーとしての日本
今、東京でASEAN(アセアン・東南アジア諸国連合)の特別首脳会議が開かれています。16日夜は迎賓館で行われた晩さん会に各国の首脳が参加しました。
彼らアセアン諸国にとって日本はどのような存在なのでしょうか?
英誌エコノミストが12月14日版に解説しています。
日本とASEANの関係は新時代を迎えている。日本は東南アジアにとって、アメリカや中国よりも親密な友人である
アジアの地政学はしばしば2つの巨人という言葉で語られる。
超大国であるアメリカと中国がこの地域に聳え立つ。彼らは東南アジア諸国連合の10カ国を含む小国を引き込もうと競い合っている。
しかし、もうひとつの大国がある。日本である。
多くの東南アジア諸国にとって、日本は資本、技術、援助の供給源として、ライバル大国に対する重要なヘッジを提供している。
過去10年間で、日本のアセアン諸国への海外直接投資は総額1,980億ドルに達し、アメリカの2,090億ドルには及ばないが、中国の1,060億ドルには勝っている。
日本企業は東南アジアの成長市場を切望し、日本の政策立案者は東南アジアを中国の膨張主義に対する防波堤と考えている。
シンガポールのイース・ユソフ・イシャク研究所が東南アジアの研究者、ビジネスマン、政策立案者を対象に行った調査によると、日本はこの地域で最も信頼できる外部パートナーである。
日本の外交は、アメリカや中国が説教臭かったり、強引だったりするのに対して、従順である傾向がある。日本は人権侵害を比較的黙認し、独裁者が改心することを期待して対話する。
日本の民間投資と国家援助は、成長と親善を生み出すのに役立っている。
日本の海外開発部門である国際協力機構(JICA)は、何十年もの間、研修、専門知識、資金を提供してきた。
日本が信頼される秘訣は「長期的な一貫性」だと、田中明彦国際協力機構理事長は言う。東南アジアにおける日本の存在感は、道路から下水道、発電所まで、インフラ整備において最も顕著に表れている。
一帯一路構想の全盛期でさえ、多くの東南アジア諸国への日本のインフラ投資は中国を上回っていた。
中国の台頭はまた、日本が地域の安全保障においてより積極的な役割を果たすよう促している。2012年から2020年まで首相を務めた安倍晋三の下、日本は軍隊と防衛産業に対する法的拘束を緩めた。
それ以来、日本はフィリピン、マレーシア、ベトナム、タイ、シンガポール、インドネシアと防衛装備移転協定を締結し、フィリピンとベトナムの沿岸警備隊向けにボートを建造している。日本はフィリピンとベトナムの沿岸警備隊にボートを提供している。
これは日本と東南アジアの関係がどこへ向かっているのかを示唆している。中国の膨張主義を憂慮する国々との安全保障上の結びつきは、ますます強まるだろう。
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解説
日本がアセアン諸国に信頼されているのは、エコノミスト誌からみても明らかのようです。
しばしば強圧的な米国、中国とは違う点が評価されているようです。
そしてその信頼が今、防衛分野での関係深化に結びついてきています。
先日、イスラム教徒(インドネシア、モロッコ)の女性と話す機会があったのですが、彼女らのコメントも印象的でした。
「私たちからみれば、日本は超大国です。その日本が米国に完全に追従しているのが理解できません」
日本はアセアン諸国だけでなく、イスラム諸国からも尊敬されています。
そして米国、中国への牽制として、世界の第三極のリーダー的な役割を期待されています。
今の日本には、世界のリーダーとしての役割を果たす気概はなさそうですが、その期待があることは自覚しておいてよいでしょう。
(この記事はメルマガ『在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』12月17日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をご登録ください)
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