子供時代の虐待・ネグレクトが「慢性疼痛」のリスクを高めるという調査結果

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子供時代に性的、身体的、精神的虐待やネグレクトなどを受けていると、精神面の問題を抱えるケースが多いことはよく知られています。しかし、身体面の影響についての研究調査はあまり多くはなかったようです。今回のもりさわメンタルクリニックの無料メルマガ『精神医学論文マガジン』では、子供時代の逆境体験と慢性疼痛との関連を調べた57本の研究を分析した論文を紹介。逆境体験によって慢性疼痛を生じる確率が高まるとのデータを示しています。

子供時代の逆境体験と慢性疼痛の関連

子供時代の虐待などの逆境体験が、その後の人生における精神疾患のリスクを増加させることが指摘されてきました。今回は、子供時代の逆境体験と慢性疼痛の関連について調べた分析(メタ・アナリシス)をご紹介します。

子供時代の逆境体験と慢性疼痛の関連
Adverse childhood experience is associated with an increased risk of reporting chronic pain in adulthood: a stystematic review and meta-analysis

逆境体験と慢性疼痛との関連を調べた85本の研究(826,452人の参加者)が特定され、基準を満たす57本が分析に含まれました。

結果として、以下の内容が示されました。

  • 逆境体験があった場合には、成人期の慢性疼痛が多くなっていました(調整後オッズ比1.45倍)。
  • 身体的虐待があった場合には、特に慢性疼痛が多くなっていました(調整後オッズ比1.50倍)。
  • 逆境体験の数が多い場合の方が、慢性疼痛が多くなっていました(逆境体験が1つで1.29倍、4つ以上で1.95倍)。

要約:『子供時代の逆境体験があると慢性疼痛が多く、逆境体験の数が多いとさらにリスクは高くなる可能性がある』

逆境体験が精神疾患のみではななく、広く身体的な影響を及ぼしうることを示す内容でした。

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【著者】 もりさわメンタルクリニック 【発行周期】 日刊

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