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なぜ文筆家は大きな考え事をしたいとき「コピー用紙」にメモるのか?

誰しもがビジネスシーンや日常生活で使用するノート。巷にはさまざまな「ノート術」があふれていますが、プロフェショナルはどのようにノートを「運用」しているのでしょうか。今回のメルマガ『Weekly R-style Magazine ~読む・書く・考えるの探求~』では文筆家の倉下忠憲さんが、ツイッターで寄せられた質問に答える形で、自身が実践する「コピー用紙をノートとして使う方法」を伝授。「ペラな用紙」を使用する利点も含めレクチャーしています。

コピー用紙のノート的運用

Twitterで質問を頂きました。ありがとうございます。


ノート術が多く語られていて、基本は普通の綴じノートやデジタルノートだと思うんですが、ペラな用紙でのノート・メモについてどう考えてるのか気になります。巷ではA4紙1枚の記憶・思考術本も出ていて、興味があります。

綴じノート以外のノート、特に「ペラな用紙」のノートについてですね。

まず、私の家にはプリンタがないのですが(プリントやコピーはすべてコンビニでやっています)、それでもA4サイズのコピー用紙ががっつり常備されています。もちろん「ノート」として使うためです。

どういうときに使うのか?

大きな考え事をしたいとき、というのが一番多い用途です。たとえば新しい企画案を考えて編集者さんに提出しなければならないとしましょう。そうしたとき、一番最初に取り出すのがコピー用紙です。そこに企画案のコンセプト、使えそうなネタなどをみっちりと書き込みます。

そうしたものは、一度書いただけでうまくいくとは限りません。何度も何度も書き直すことは頻繁に起こります。そうしたとき、コピー用紙だと都合がよいのです。

特に便利なのは後者です。ノートだと、同じノートに書いた過去のページを見ながら、同時に新しいページに書き込むは相当にアクロバティックな動作が必要ですが、コピー用紙であればむちゃくちゃ簡単です(ちなみに、情報カードでも同じことができます)。

また、書評記事を書くための準備や、ブックカタリストで話すための準備なども、コピー用紙を使って行うことが多々あります。これも全体を書き直すことが結構あるからなのと、書評記事を書いたりブックカタリストで話すことが終わると、配信したものが「原本」となるので、準備につかった紙は保存しておく必要がなくなるので捨てるのが簡単な方がよいからです。

逆に、どこにも発表する予定のない、純粋な読書メモの作成は綴じノートで行うことが多いです。

ちなみに、この「書いた先の処理によって分ける」というのはあくまで感覚的なものなので、そのときどきで揺れることがある点は補足しておきます(アルゴリズム的に、~~ときは必ずこうするとは決まっていない、ということです)。

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■保存について

上記のような使い方が多いので、書き終えたコピー用紙の保存についてはそこまで神経を使っていません。iPhoneで適当に撮影して、ScrapboxやEvenoteに保存しておく、くらいの処理が大半で、そういう処理すらせずにゴミ箱に行くものもあります。

逆に、企画案や準備ではなく、「何かしらのアイデアを整理する」ために使い、さらに「おっ、結構うまく書けたじゃん」と思えるようなものは、クリアファイルに差し込んで机の横に置いておくこともあります。別段そうやって保存したものが、のちのち企画に役立つみたいなことは(ほとんど)ないのですが、たまに見返すと写真アルバムを振り返るような楽しさがあるから保存しているだけです。

保存に関しては、「レポートカバー」を使うのも便利です。

レポートカバー | ノートのノート

こうしてコピー用紙に書いたものは、無くなったからといって仕事に差し支えるものではありません。基本的には、「一時的」なものを書き留めるための道具として使っています。

■コピー用紙を持ち歩く

出先で作業をしているときに、上記のような検討や準備作業を行うこともたまにあります。そのたびに、コンビニにいってブランクでコピーする(10円でコピー用紙1枚手に入る計算)わけにもいきませんので、かばんの中にはコピー用紙がストックされています。

それも、クリアファイルに入れるのではなく、大きめのクリップを使って挟み込んでいます。

大きなクリップでコピー用紙を挟む | ノートのノート

一番下に補強した厚紙を挟み込んでいるので、かばんの中でよれよれになる心配はありません。最近は、これにさらに透明フィルムのカバーをつけようかと考えていますが(なにしろDIYが好きなのです)、今のところはクリップ+コピー用紙+厚紙の構成だけで使っています。

■さいごに

というわけで、コピー用紙はよく使う「ノート」の一つでもあります。ただし、テンポラリーな用途が大半です。長期的に保存したいものはできるだけ綴じノートに、そうでないものはコピー用紙+スマートフォンで撮影、くらいの使い分けというのが大きな方針と言えるでしょう。

ちなみに、ちぎり取れるタイプのメモはブレスト時には使いますが、普段のメモにはあまり使いません。そういうメモは──大量に買ってストックがある──小さい情報カードを使っています。

以上、倉下の「ペラな用紙」の使い方でした。

──(メルマガ『Weekly R-style Magazine ~読む・書く・考えるの探求~』2022年12月11日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をご登録、12月分のバックナンバーをお求め下さい。

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image by: Shutterstock.com

倉下忠憲この著者の記事一覧

1980年生まれ。関西在住。ブロガー&文筆業。コンビニアドバイザー。2010年8月『Evernote「超」仕事術』執筆。2011年2月『Evernote「超」知的生産術』執筆。2011年5月『Facebook×Twitterで実践するセルフブランディング』執筆。2011年9月『クラウド時代のハイブリッド手帳術』執筆。2012年3月『シゴタノ!手帳術』執筆。2012年6月『Evernoteとアナログノートによる ハイブリッド発想術』執筆。2013年3月『ソーシャル時代のハイブリッド読書術』執筆。2013年12月『KDPではじめる セルフパブリッシング』執筆。2014年4月『BizArts』執筆。2014年5月『アリスの物語』執筆。2016年2月『ズボラな僕がEvernoteで情報の片付け達人になった理由』執筆。

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【著者】 倉下忠憲 【月額】 ¥733/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎週 月曜日 発行予定

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