また、日本では弱者を優先するため、家族が一緒に福祉避難所に移動することができません。不安な状況で、一人になりたくない、家族と離れたくないという理由から、福祉避難所への移動を躊躇する家族も多かったそうです。いつだって社会の歪みのあおりを真っ先に受けるのは、社会的に立場の弱い人たちです。超高齢社会でありながら、介護などの福祉施設に対する国の支援が乏しいことも、災害時の困難な状況を生んでいる。そう思えてなりません。
石川県の7市町の49%の地区で、65歳以上の人の割合が5割を超えていたこともわかっています。最も高齢化率が高かった輪島市西部の山間にある門前町猿橋では、地区の12人全員が65歳以上だったそうです。
輪島市や珠洲市など被害が大きかった地域は、日本の未来であり、「私」の未来です。
避難生活が長期化する中、災害関連死も心配ですし、人間にとって将来の見通しが立たないことは、想像以上に心身を疲弊させます。
自然災害の国日本は、超高齢社会と防災、減災、救助をどうやって両立させるのか?徹底的に議論し、予算を増やし、実行に移してほしいし、「私」の街では、「私」のマンションではどうするのか?一人一人に考えてほしいと思います。もちろん私も「私」の中の一人です。
みなさまのご意見、お聞かせください。
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