「アイヌはロシアの先住民族だ」。プーチンの発言が危険すぎる訳

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1月30日、ロシアのメドベージェフ前大統領が北方領土をあくまでロシアの領土だとした上で、岸田首相に対しては「悲しければ切腹しろ」といったコメントをSNSに投稿したことが伝えられました。これについて「気にする必要はない」とするのは国際関係ジャーナリストの北野幸伯さん。北野さんはメルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で今回、なぜ気にする必要がないのかについて解説するとともに、日本が本当に心配しなければいけない「プーチン大統領の過去の発言」を取り上げています。

「切腹しろ!」露メドベージェフ前大統領の発言をどう見るべきか?

全世界のRPE読者の皆様、こんにちは!北野です。

ロシアのメドベージェフ前大統領が、ずいぶん過激な発言をしています。『朝日新聞DIGITAL』2024年1月30日付。

ロシアのメドベージェフ前大統領は30日、岸田文雄首相が同日の施政方針演説で、領土問題を解決して日ロの平和条約締結の方針を堅持すると表明したことについて、「いわゆる北方領土についての『日本人の感情』は知ったことではない。それは『係争中の領土』でなく、ロシア(の領土)だ」とSNSで主張した。

北方領土について「それは『係争中の領土』でなく、ロシア(の領土)だ」そうです。これ、私たち日本人には、ムカつく発言です。しかし、28年モスクワに住んでいた私の実感として、この発言は、まさにメドベージェフの【 本音 】です。

もちろん、メドだけではありません。プーチンも、北方領土を返す気は、1ミリもありません。前々から全然なかったのです。

では、なぜプーチンは、安倍さんと仲よくしていたのでしょうか?「北方領土返そうかな」とほのめかせば、日本から金と技術を奪うことができるからです。それ以外の目的はありません。

ちなみに、安倍総理はプーチンに大きな譲歩をしています。2018年11月、安倍さんは「4島一括返還論」を捨てて、「2島(先行)返還論」にシフトしました。シンガポールでプーチンと会談した安倍さんは、

1956(昭和31)年、(日ソ)共同宣言を基礎として、平和条約交渉を加速させる。本日そのことでプーチン大統領と合意いたしました。

と発言しました。「日ソ共同宣言」の「骨子」は、「平和条約締結後、歯舞、色丹を引き渡す」です。国後、択捉には言及していません。一方、日本政府の要求は、これまで長年「4島一括返還」だった。「日ソ共同宣言を基礎として」ということは、首相が「2島返還論者」になったことを意味します。

ところがプーチンはこの後、「北方領土返還には日米安保の解消が必要だ」などと発言しはじめました。要するに、プーチンには、最初から北方領土を返還する気がなかった。ただ、日本をだますことで、金と技術が欲しかっただけなのです。

だから今回のメドの発言は、「ロシアエリートの総意」と考えて間違いないでしょう。

その上で、「特に悲しむサムライは、伝統的な日本の手法で人生を終えればいい。切腹だ。もちろん勇気があればだが」と述べ、「広島と長崎(での米国による原爆投下)を記憶から完全に消し、米国といちゃいちゃするのが楽しいのだ」と、切腹の場面の写真も添えて、日本人をからかうような投稿をした。

こんな品格のない男が大統領だったとは。「ロシアも落ちるところまで落ちたな」と思います。とはいえ、現大統領は国際刑事裁判所から指名手配されているリアル「戦争犯罪容疑者」ですから、「どっちもどっち」ということでしょう。

参考までに『BBC NEWS JAPAN』2023年3月18日付。

オランダ・ハーグに本部を置く国際刑事裁判所(ICC)は17日、ウクライナ侵攻をめぐる戦争犯罪容疑で、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領らに逮捕状を出した。ICCは、ロシアが占領したウクライナの地域から子どもたちをロシアへと不法に移送しており、プーチン氏にこうした戦争犯罪の責任があるとしている。

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