米国の心理学者ロバート・ザイアンス提唱の「単純接触の原理」!
有権者が、世襲候補に票を入れやすい心理としては、米国の心理学者ロバート・ザイアンスが提唱した「ザイアンスの法則」も参考になるでしょう。
「ザイアンスの法則」とは次のような3つの法則のことです。
- 人は見知らぬ人には冷淡に接する →新人候補には冷たい。
- 人は会えば会うほど親近感をもつ →街中に世襲候補のポスターがあるので覚えやすい
- 人は相手の人間的側面を知ると、より強い好意をもつ →世襲候補は先代からの影響を強く受けており、その頻繁に開示されたプロフィールにも馴染みやすい
日頃から街中に、選挙に備えた候補者ポスターが貼りめぐらされていることから、後援会組織が根を張り、地盤が整っている世襲候補者だけが圧倒的に有利になることでしょう。
また、そのポスターに掲載された顔が、先代とそっくりか、かなり似ていると、有権者は見慣れた「顔」として、世襲候補にも親近感をもちやすいはずです。
そして、世襲候補者の人柄や性格もだんだんに後援会組織を通じて浸透していくでしょうから、やはり、ここでも世襲候補が有利になるのです。
つまり、有権者の「認知」においては、新人候補者よりも、世襲候補者への有利なバイアスがはたらくのは至極当然のこととなっているのです。
こうした「ザイアンスの法則」は、2番目の「会えば会うほど好意をもつ」という「単純接触効果」が有名ですが、日頃から街中にポスターが貼りめぐらされていればこそ、この効果が有権者の潜在意識に日常的に十分はたらくことが窺えるのです。
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