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日本に感謝!でも中国はお断りします。台湾が「地震援助受け入れ」で下した決断

台湾で3日、発生した大地震(台湾東部沖地震)を受けて、100万ドル(約1億5000万円)規模の緊急無償資金協力を決めた日本。現地住民からはSNSなどを通じて「日本ありがとう!」の声が続々と届いていますが、その一方で台湾政府が中国からの援助申し入れを「即座にお断り」していたことをご存じでしょうか?たとえ非常事態であっても“火事場泥棒”を警戒せざるを得ない中国の災害支援の実態について、台湾出身の評論家・黄文雄さんが主宰するメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』が詳しく解説します。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:【台湾】つねに火事場泥棒を繰り返す中国の災害支援

非常事態でも中国は「出禁」台湾政府が判断した理由

花蓮地域で震度6を観測した台湾東部沖地震から一週間が経ちました。その様子は日本のメディアでも詳細に報じられているので、ご存知の方も多いでしょう。

特に、プライバシーに配慮した避難所を迅速に設置したことや、暖かい食料や飲み物を随時提供できる体制などについては、賞賛の声が各界から上がっています。

日本政府が援助を決定したことや、日本のSNSなどで支援の輪が広がっていることは、ご存知の通りです。

そんななか、中国政府からも援助の申し出がありましたが、台湾政府は即座にお断りしています。

まあ、いつものことですが、以下の報道には丁寧にお断りした理由が書いてあるので、一部を引用します。

台湾東部沖地震で中国が援助を申し入れ 台湾が即座に断った理由は25年前の恨み(ザ・ニュースレンズ日本版)

中国国務院直属の台湾に関する事務機構「台湾事務弁公室」は、震災直後、「中国本土の関係者は深い懸念を示し、地震による被害に遭われた台湾同胞に心からお見舞いを申し上げる」との声明を発表。状況を見守りながら、災害援助をする用意があると台湾側に伝えた。

これに対し、台湾行政院の大陸委員会は、「中国側の懸念に感謝の意を表する」とした上で、「今回の地震について中国側の援助は必要ない」と返した。

中国国営メディアは、今回の地震が「中国の台湾」で起きたと報道。シンガポール国立大学のジャ・イアン・チョン准教授(政治学)は、援助の申し出が、「中国のこれまで通りの方針であって、単に国内向けアピールと考えられる」と述べた。

一方、専門家らは、台湾が即座に中国からの援助を拒否した大きな理由は、1999年に台湾中部を襲った地震への対応をめぐる中国への恨みが理由とみている。

同年9月21日深夜に発生した「台湾集集地震」は、死者2000人、負傷者8000人以上を出す大災害となった。全壊・半壊した家屋は10万戸に上り、道路などインフラも壊滅的被害を受けた。

当時、台湾当局は中国政府による「救援活動」が監視目的であることを察知し、「極めて不適切」だと一蹴。中国側の申し出を事前に断った。さらに中国は国連による援助活動を妨げたという。震災により甚大な被害を受けた台湾に世界中から支援が集まるなか、外国の政府や公的機関が台湾を独立国家のように接することを妨害したというのだ。

チョン氏は、「中国の援助は常に条件付き」だとし、すでに始まった復興活動に中国が関与することに台湾政府が反発するのは当然だとし、中国の姿勢に台湾人の間でも不信感が広がっているとした。

同氏は、「軍事的脅威により、(中国の)意図に対しては懐疑的な見方が圧倒的」と指摘。中国軍機を台湾の防空識別圏へ侵入させ、軍艦を同島周辺海域に常時展開するなど、台湾支配に向けた動きを加速しているからだと解説した。

タイム誌によると、5月に就任する頼清徳次期総統は1月、投票所に向かう有権者に向かってこう語った。「平等と尊厳の原則の下、中国政府との対話の扉は常に開かれている」と明言。同時に、「平和を希求しながらも幻想を抱いてはいない」と付け加えた。

一方の中国は、台湾の反応を予想していた可能性が高いと国立政治大学のナックマン氏は推測。確実に拒否される提案を行ったことで、中国は「親切心から援助の申し出をしたというよりも、本質的に台湾の印象が悪くなるように仕向けていた。つまり、『ほら、台湾はわれわれの優しさを拒否した』と言えるように」と説明した。

台湾による災害救助の成果を「横取り」も

今回の地震の直後には、台湾が中国に対して「恥知らず」と反発する出来事もありました。以下、報道を一部引用します。

中国、国連会合で台湾へのお見舞いに「感謝する」と応じ台湾が反発 “中国の台湾地区で起きた地震”と表現(日テレNEWS NNN

中国の国連代表部によりますと、3日に行われた国連の会合で、出席者から台湾の地震について被災地を見舞う気持ちを伝える発言がありました。

これを受けて、中国の国連次席大使は「中国の台湾地区で発生した強い地震」という表現を使った上で、「国際社会の同情と関心に感謝する」と発言したということです。そしてこの発言に台湾側は、猛反発しています。台湾の外交部は6日、「台湾の地震を国際社会での認知戦に利用する恥知らずな行為」と中国側の発言を強く非難しました。

2023年にトルコ南部で大地震が起こった際、台湾からは救助隊40人と救助犬3匹がトルコに駆けつけました。ところが中国のネットでは、その救助隊の写真とともに、「中国がトルコに救助隊を送った」「中国がトルコに救いの手を差し伸べた」といった嘘の投稿が拡散されました。

当時は、中国が功績を横取りしたと物議を醸し出しましたが、そういうことをやるのが中国なのです。

政治の世界の人々がいろいろと画策するのはいいですが、地震や被災地の人々をその道具として利用しないで頂きたいものです。

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