6月10日開幕のWWDC(世界開発者会議)で発表したAIへの取り組みが、世界中で大きく報じられたApple。しかしそこでは他にも数々の技術が発表されています。今回のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』ではケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川さんが、「iOS 18」をはじめとした新技術を紹介。さらにそれらから感じた率直な感想を記すとともに、OSにおける「次の差別化のカギ」について考察しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:アップルがOSをアップデートするも「Androidの後追い感」漂う――差別化の舞台は「生成AIによる操作性向上」にシフト
アップルがOSをアップデートするも「Androidの後追い感」漂う――差別化の舞台は「生成AIによる操作性向上」にシフト
今回のWWDC、Apple Intelligenceばかりに注目が集まり、自分もほとんどの原稿がApple Intelligence関連だったりする。
iOS 18ではどんなアップデートがメインかと言えば、アップルとしては「新しいカスタマイズオプション」を推している。
ザックリといえば、アプリのアイコンを任意の空いているスペースに自由に配置することができるようになったということだ。また、アイコン全体の色合いを統一させることで、背景の写真とマッチしたテイストにできるのも売りだ。
さらにロック画面にはこれまでカメラとライトの起動アイコンしか配置できなかったが、これもユーザーが自由に選べるようになった。
ぶっちゃけて言えばAndroidに追随してきただけに過ぎない。これまではカスタマイズ性に優れたAndroidに対して、カスタマイズを良しとしないiOSというイメージであったが、iOS 18によって、2つのプラットフォームはかなり似通ってきた。
また、MacOSのアップデートにおいては、iPhoneの画面をMac上に表示し、Macから自由に操作できるというのをアピールしていた。これもAndroidメーカーではすでに取り組んでおり、他社の発表会を見ている自分からすれば特段、驚きはない。
さらにiPadOSに関しても、Apple Pencilで入力した手書き文字に対して、一部の単語を削除したら、間を詰めることができたりといった機能も、Galaxyのペン入力ですでに実現済みだ。
アップルとしては他社に対抗するという意味合いもあり、同等の機能をぶつけてきている感があるが、ユーザーの驚きにはなかなかつながらないことだろう。
もはや、OSにおけるカスタマイズや使い勝手、操作性などは、アップルとグーグル、さらには端末メーカーで出し尽くした感があり、なかなか、差別化や驚きを与えるのは難しくなりつつある。
ただ、一方で、スマートフォンやタブレット、パソコンの操作性が本当にいまが最高に使いやすいかと言えば、決してそんなことはないはずだ。
欲しい情報がすぐに見つからない。情報が多すぎて管理しきれない。大事な予定を入れ忘れてパニックになるなんてことは日常茶飯事だ。
そんな「スマートフォンを使っている上で落とし穴」はまだまだたくさんあるわけで、Apple IntelligenceやGoogle Geminiには「ユーザーに寄り添った、優しいAI」として、スマートフォンの操作がもっと減り、欲しい情報をすぐに取り出せる、頼もしい相棒として機能してほしいものだ。
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