エヌビディアを筆頭に、業績・株価ともに好調が伝えられるAI関連企業。6月末にはアマゾンの時価総額が2兆ドルを突破したことが報じられ大きな話題となっています。今回のメルマガ『『グーグル日本法人元社長 辻野晃一郎のアタマの中』~時代の本質を知る力を身につけよう~』では『グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた』等の著作で知られる辻野さんが、同社の株価上昇を後押しした要因と、まさに「AIバブル」とも言える市場について解説。さらに日本企業の存在感が見えない現状を紹介しています。
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※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:アマゾンの時価総額が2兆ドルを突破
プロフィール:辻野晃一郎(つじの・こういちろう)
福岡県生まれ新潟県育ち。84年に慶応義塾大学大学院工学研究科を修了しソニーに入社。88年にカリフォルニア工科大学大学院電気工学科を修了。VAIO、デジタルTV、ホームビデオ、パーソナルオーディオ等の事業責任者やカンパニープレジデントを歴任した後、2006年3月にソニーを退社。翌年、グーグルに入社し、グーグル日本法人代表取締役社長を務める。2010年4月にグーグルを退社しアレックス株式会社を創業。現在、同社代表取締役社長。また、2022年6月よりSMBC日興証券社外取締役。
続くAI関連企業のせめぎ合いと急成長。2兆ドルを突破したアマゾンの時価総額
前々号では、アップルの時価総額がApple Intelligenceの発表直後に日本円で500兆円を突破したこと、また前号では、エヌビディアが、マイクロソフトとアップルに続いてやはり時価総額が500兆円を超えて世界一時価総額が高い企業になったことを紹介しました。今回はアマゾンの株価高騰の話です。
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AIブームに乗ったハイテク株の上昇が続く中、アマゾンの株価は6月26日、前日比4%高の193ドルをつけて最高値を更新し、終値ベースの時価総額は2兆148億ドル(約324兆4,000億円、1ドル=161円)に達しました。これにより、世界で時価総額が2兆ドルを超える上場企業は、上記のマイクロソフト、アップル、エヌビディアの3社に加えて、アルファベット、サウジアラムコ、アマゾンの6社となります。ちなみに、周知の通り日本の時価総額トップ企業はトヨタで、現時点で50兆円程度、私が居たソニーは同17兆円程度にすぎません。
アマゾン株の上昇を後押ししたきっかけは、バンク・オブ・アメリカのアナリストが、同社の目標株価を210ドルから220ドルに引き上げて、時価総額の2兆3,000億ドルへの到達を示唆したことにあると報道されています。
アマゾン創業者で会長のジェフ・ベゾスの保有資産は、これで60億ドル近く増加し、2,090億ドル(約33兆6,000億円、1ドル=161円)に達しました。アマゾンの株式の約10%を所有するベゾスは、年初から約350億ドルの資産を増やし、同日時点では2,192億ドルの資産を保有するイーロン・マスクに次ぐ世界第2位の富豪ということになります。最近の世界の富裕層ランキングでは、この2人に加えて仏LVMHの会長兼CEOベルナール・アルノーの3トップが抜きつ抜かれつの状態です。
この記事の著者・辻野晃一郎さんのメルマガ
AIブームに乗り遅れほぼゼロに近い日本企業の存在感
アマゾンの株価は、年初来で27%、2023年の初頭からは130%上昇しています。ベゾスの後継としてCEOに就任したアンディ・ジャシーが率いる同社は、第1四半期の決算で史上最高となる104億ドルの純利益を計上しています。アマゾンは、AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)上でAmazon BedrockなどのAIサービスを積極展開しており、OpenAIから派生したAIベンチャーのアンソロピックにもグーグルなどと共に出資しています。以下、たびたび掲載している自作のAI勢力マップの最新版を再掲しておきます。
AI勢力マップ最新版(筆者作成)
アマゾンの時価総額は、年初から4,000億ドル以上上昇していますが、マイクロソフトとアップルの時価総額は同期間にそれぞれ5,000億ドル以上上昇し、エヌビディアは1兆8,000億ドル以上も上昇しており、まさにAIバブルともいえるような過熱ぶりです。
以前にも説明した通り、かつてのようにAIブームが冬の時代に逆戻りすることはもはや二度とあり得ず、今後もAI関連企業のせめぎ合いと急成長が継続していくことは間違いありませんが、残念ながらその中に日本企業の存在感はまったくありません。
※本記事は有料メルマガ『『グーグル日本法人元社長 辻野晃一郎のアタマの中』~時代の本質を知る力を身につけよう~ 』2024年7月5日号の一部抜粋です。このつづきに興味をお持ちの方はぜひご登録ください。
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