今回のサムソン電子労組ストライキに対して批判的声が大きいのは、ストライキの大義名分や状況が納得しにくいためだ。サムソン電子の役職員の平均賃金(登記取締役を除く)は1億2000万ウォンで、国内賃金労働者の上位4%に該当する。今年初め、経営陣と社員代表間の公式窓口である労使協議会で合意された年俸引上げ率5.1%を拒否し、5.6%引き上げを要求している。労組は最近、会社が受け入れられない条件を追加で掲げている。労組法上「無労働無賃金」原則により支給できないストライキ参加労組員らの賃金を補填しろというもの。
国家的次元で半導体支援のために敷地提供と税金控除など大々的支援をし、人材育成のために大学制度まで変えることを考慮すればサムソン電子高額年俸者のストライキは社会的に容認しにくいという指摘が出てくるのも当然。「自営業者が出した血税で億台年俸者ストライキを支援する」というようなネット内の書き込みが目立つ。
韓国の半導体産業とサムソン電子が直面している状況は決して容易ではない。急成長している人工知能(AI)半導体は、米国(設計)と台湾(生産)を中心に動き、最近日本が世界最大のファウンドリー企業であるTSMC生産施設を相次いで誘致し、参入している。
韓国の半導体は圧倒的な競争力を見せてきたメモリーを前面に押し出して「半導体戦争」に対応してきていたが少しずつ限界を見せている。米国のNVIDIAと台湾のTSMCが急成長する間、サムソン電子の半導体は昨年約15兆ウォンの営業損失を記録した。
しかも三星電子はHBMで苦戦し、最近、半導体のトップを電撃的に交代した。半導体業界の関係者は「サムソン電子はメモリー半導体の好況で上半期に好業績を上げたが、数年後の状況は断言できない」としている。本来労組のなかった三星だった。今は母体を食い荒らすほどの激しさで闘っているようだ。隔世の感がある。
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