グーグルが新製品「Pixel 9」シリーズの発表を8月14日に行うことを公表し、製品の写真も一部公開しました。iPhoneより先行して発表する戦略のようですが、「タイミングが悪い」と批判するのはケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さん。今回のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』では、7月24日、31日にサムスン電子の「Galaxy Z」シリーズの発売を控えていることを問題視。「打倒アップル」のためには、Android陣営の足を引っ張っている場合ではなく、手を貸せることがあると指摘しています。
グーグルがPixel 9の背面デザインをチラ見せ──Galaxy Zシリーズの足を引っ張ってはいないのか
グーグルはフラグシップスマートフォンの新製品の「Pixel 9」シリーズを8月14日に発表すると予告した。しかも、製品の背面写真などデザインの一部も公開されている。
すでにネットではPixel 9シリーズの写真がいくつも流出している。様々なところから流出しているのであれば、いっそグーグルがオフィシャルでリークしてしまうというのは理解できなくもない。実際、グーグルは過去に同じような事を何度もやってきた。
ただ、今回ばかりはタイミングが悪いような気がしてならない。なぜなら、サムスン電子「Galaxy Z Fold6」「Galaxy Z Flip6」の発売が、韓国、北米など第1次販売国は7月24日、日本を含む第2次販売国は7月31日に迫っているからだ。何も、Androidスマートフォンの雄であるGalaxy Zシリーズの発売直前にPixel 9の発表を改めて予告し、画像を流さなくてもいいのではないか。
日本でGalaxy Z Fold6などを予約しようとしている人からすれば「Pixel 9 Pro Foldがもうすぐ発表になるなら、ちょっと待ってみようかな」という気になってしまう。本来であれば、グーグルはAndroidエコシステムを盛り上げる立場にいるにも関わらず、なぜ、サムスン電子の足を引っ張るようなことをするのか。
実際のところ、グーグルという会社は、表向きはひとつだが、実際はAndroidを推進するチームとPixelを推すチームはいまだに別な感じが漂っており、PixelからしてもGalaxyの事なんてお構いないのかも知れない。
しかし、端から見ていて、グーグルのやるべきことは「打倒アップル」であり、Galaxyを潰しにかかっても、何一つメリットなんてないはずだ。理想を言えば、Pixelで搭載している独自のAI機能などは他のAndroidメーカーに積極的に開放すべきだし、なんなら、Pixelで搭載しているTensorだって、他のメーカーが採用できるような環境を整備すべきだ。
他のAndroidメーカーは、クアルコム「Snapdragon」を搭載する際、コストの面で相当、苦労してる。これがTensorを載せられるのであれば、Snapdragonの型番問題からも解消されるし、Tensorの採用数が増えれば、結果、さらに調達コストを下げられるのではないか。
Pixelは例年10月に発表していたが、今シーズンは8月に前倒しするなど、iPhoneよりも先行して発表しようと戦略を立てている感がある。ただ、結果として、Galaxyの盛り上がりに水をかけている印象も出てしまっているのが、なんとも残念であり、Android陣営としてもうちょっと足並みを揃えて、アップルを倒すような戦略を練り直した方がいいのではないだろうか。
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