「8月15日」は日本だけで成立。なぜ“終戦記念日”は隣国とのギャップを生み出してきたのか

 

そして、9月にはロシアや中国で対日戦勝記念日のセレモニーが行われ、各国の内向きな物語がアップデイトされていく。

「対話なきゲーム」の行き先は分断しかない。

ロシアでのその日はテレビのドキュメンタリーで延々と勝利への艱難辛苦が語られ、国威発揚の機会と得ているようで、これがウクライナ戦争にもつながっていくのだろう。

8月と9月を結び、そこで起こったことを検証しながら、新しい夏、そして秋を描けないだろうか。

ニューヨーク・タイムズによると、現地の医師の話としてイスラエルからの攻撃が続くパレスチナ自治区ガザには5万人の妊婦がいるという。

妊婦は物資不足の中で避難を繰り返し、自分が生き延びること、胎内の子供に世の光を浴びさえることに奮闘する様子が報じられた。

殺す行為で優位性を保とうとする戦争による攻撃は今も犠牲と残酷を生産している。

私たちが慣れ親しんできた8月ジャーナリズムの本質は、人類の残酷の極みである戦争が、日本で起こっていたことを実感し、その戦争はいまだに存在し、またここでも行われる想像を喚起するためのストーリーの共有化である。

過去と今、空間を超えて戦争を考える時である。

戦争の語り部が減っていく中で、8月の日々の風化も進む。

隣国との対話も念頭に、8月だけではなく、8月から9月に何が起こったのかも含め、私たちは再度語り合わなければならないだろう。

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障がいがある方でも学べる環境を提供する「みんなの大学校」学長として、ケアとメディアの融合を考える「ケアメディア」の理論と実践を目指す研究者としての視点で、ジャーナリスティックに社会の現象を考察します。

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