さっそく、気になるポイントを赤ペンチェックしてみましょう。
U.S.News誌によると、アメリカのビジネススクール卒(MBA:経営学修士号の保有者)の初任給年収(サラリーとボーナス)は、2022年で平均11万5000ドルだ。1ドル=145円で換算すると、1668万円になる。大学によってかなりの差があり、序列も公表されている。トップはハーバード大学とスタンフォード大学で、初任給が19万6000ドルになる
賃金が経済成長を牽引するのではない。経済を牽引するのは、新しい技術やビジネスモデルだ。それらが、新しいタイプの企業活動を実現し、経済が成長する。その結果として賃金が上がるのだ
アメリカの主要産業は、ガソリン車メーカーでもなく、製鉄業でもなく、テック産業と医薬品産業、そして金融業
日本では、大学や大学院レベルでの教育の水準が低く、十分な専門的教育を行なっていない。このため、人材の質が低下している
半導体生産企業で半導体指数に入っているのは、ソニーグループとルネサスエレクトロニクスだけだ。前者はイメージセンサーの生産、後者は車載用半導体の生産を行なっている。両者の株価上昇率は高くない
必要なのは、「技術と投資と人材」
「通信・コンピュータ・情報サービス」で日本は世界最大の赤字国
マイナンバーカードで事務負担が増えた
円安になれば、円ベースでの輸出企業の売上げが増える。一方、企業は、原価上昇分を製品価格に転嫁する。したがって、利益が自動的に増える。そのため、株価が上がる。しかし、転嫁された原価上昇分は、最終的には消費者物価に転嫁されるので、実質賃金が下落する
円安が、今後も続く保証はない。今後、FRBが金利を引き下げたり、日銀が金融正常化を進めたりすれば、円高が進んで企業利益は減少するかもしれない。だから、株価上昇の基盤はきわめて脆弱
つまり、日本は、労働力を安売りして、企業利益を増やしてきたのだ
円安とは、痛みどめの「麻薬」のようなものなのである。本当に必要だったのは、技術開発による生産性の向上という「手術」だった
ビッグマックによる比較では1ドル=79円が適切なレート
円安による訪日観光客増加は、生産性向上に寄与しない
安全保障の費用分担について、アメリカに対してひたすらお願いするというだけでは能がない。取引しうる何らかの材料があることが望ましい。つまり、日本は守る価値がある国であることを、アメリカに納得させる必要がある
発売があと1カ月早かったら、多くの投資家・起業家を救えたのに、と思う内容ですが、それでも現在の日本経済の本質的課題を明らかにした点で、価値ある一冊だと思います。
世界のトップにあるアメリカと日本の差は何か。
これがわかれば、取り組むべき課題がわかります。
政治家も経営者もサラリーマンも、全労働者が読んで勉強すべき内容だと思います。
ぜひ読んでみてください。
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