大企業からベンチャー企業に転職するや今後2年間の収支計画を作るように指示され、見本はあるもののどう作っていいのかわからない。そんな悩みをわかりやすく解消するのは、世界的なコンサルティング会社マッキンゼーで14年間もの勤務経験を持つ、ブレークスルーパートナーズ株式会社マネージングディレクターの赤羽雄二さんです。今回のメルマガ『『ゼロ秒思考』赤羽雄二の「成長を加速する人生相談」』では、意外に単純なステップを踏むことで完成する収支計画の作り方を細かく具体的にレクチャー。出来上がった標準モデルをアレンジする方法も示して、相談者の背中を押しています。
収支計画がしっくりこず、どう作成すべきかイメージがつかめません
Question
経営学部卒業後、大企業の人事部に配属され、7年たちました。先ゆきに疑問がおき、勢いのあるベンチャーに転職することができました。それはいいのですが、入ってすぐ今後2年間の収支計画を作成することになり、戸惑っています。経営学部では会計学なども一応勉強しましたし、エクセルも使えないことはないのですが、このベンチャーで2年間って何をどうすればいいのか、という点です。幸い、見本はあるのですが、大企業とは何もかも違うので困っています。
赤羽さんからの回答
ご相談どうもありがとうございます。収支計画はただの表です。2年間の収支計画ということは、24ヶ月の月次収支計画を立てる、ということになります。将来のことなので、誰にも正解があるわけではなく、こういう前提条件をおいたらこう伸びるかも、というただの推定を表にしただけです。
見本があるなら、必要に応じて列を足して24ヶ月分の列を作ってください。次に、行には一番上に顧客・ユーザー数、次に売上、売上も複数事業部あればそれぞれ分けて表現し、合計も示します。その次には費用項目をずらっと並べ、その下に売上から費用を引いた「月次収支」、その下に、投資・融資、最後に月末口座残高を表示します。
その表の左側には、縦に前提条件を10~15項目並べます。ユーザー獲得比率、顧客単価、脱落率など、この収支計画に大きく影響する前提条件です。各セル、この前提条件を参照した計算式を入れます。もちろん一度式を作ったら後はコピペで一気にできます。これだけです。
一番上の行には通常、毎月のユーザー数を入れますが、これは毎月何人と手入力するか、初月から月2%伸びるなどの計算式でいれます(この2%は、月次成長率として前提条件にいれ、それをセルの計算式で参照します)。
大事なことは、この表がおおよそ事業の成長をシミュレーションしているかですね。縦横ななめに見て、特におかしくない、整合性の取れた形になったら標準モデルが一応完成です。その上で、よりアグレッシブなケース、より悲観的なケースを前提条件を変えて別のタブに表現します。
苦手だという人は、上記のような単純なステップを踏むとは思わず、何かもっと深遠な理論があるのではないか、説明があるのではないかと考え、それはとてもできないと思って止まってしまうだけだと思います。決してそういうものではありません。安心して取り組んでください。
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