お米の「大規模大量生産」は日本の敵か味方か?令和6年米騒動とアメリカの関係…わが国経済・食文化・食料安全保障の死守ラインを考える

 

日本は「米の大規模・大量生産」に舵を切ることになる

いずれにしても、このコメ作りの苦境というのは、農政改革が遅れに遅れたための結果だと言えます。全農の既得権益重視がまずあり、肥料や農機具の価格問題はここに原因があります。

また農家のカネを預かっている農林中金が国内農業には投資せず、海外の債券に投資するファンドのようなことをやって大損を出し、現在この決算期において「経営危機」に直面しているという問題もあります。

とにかく、既得権者が高齢化で産業から去っていくまで、絶対に改革をしないという鉄の原則を守ってきたのが日本です。

その結果、一世代という時間をじっくりかけて先進国から途上国(衰退途上国)に転落したわけですが、農政もまたその例と言えます。

では、これから日本のコメはどうなっていくのでしょうか。もうこれ以上は、小規模農業を維持して、再生産されない形で税金をそこに突っ込んでいくという虚しい循環はなくなると思います。その一方で、増えていく耕作放棄地を放置すると、生態系が崩壊して国土が荒廃します。

ですから、耕作放棄地をまとめて、大規模な米づくりを展開するということが何よりも必要です。制度的な抵抗勢力は、かなりの部分が退場しました。

その一方で、ジャポニカ米(短粒米)の粘りのある食味については、寿司ブームが牽引して全世界で需要が激増しています。

ですから、問題の答えは明らかなのです。日本という短粒米の生産に最も適した気候の条件下、質の良いジャポニカ米(短粒米)の良い種子を使って「米の大量生産」を行えばいいのです。どんどん増える耕作放棄地をまとめて、ちゃんとした株式会社組織にして大規模米作をやればいいのです。

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