外食も内食も崩壊。庶民が日本米を食べられなくなる恐れ
その一方で深刻なのは、このまま進むと日本国内の日々の需要、つまり家庭用や、外食チェーン、あるいはコンビニ弁当などに必要な廉価なブレンド米などが、消えてしまうということです。
言い方を変えれば、5キロ20ドルという水準では、現時点では日本のデイリーの外食も内食も崩壊してしまうということです。すでに多くの自治体では給食では米飯は無理だとして、パンや麺類に戻す動きが出ています。
その先に見えてくるものですが、外食にしても、コンビニあるいは家庭内などで消費される、国内向けの廉価な米が日本の短粒米(ジャポニカ米)ではなくなるという暗黒の未来も可能性としてはあります。
例えばですが、日本の国内流通において、普及品はタイやアーカンソー(アメリカ南部)などで大量生産される長粒米になってしまうという可能性です。すでに外食関係者からは、長粒米でも仕方がないという声は出始めているようです。
私は経済合理性の合理性を信ずる人間です。そのコストを払う意識もなく、経済合理性に逆らって「新自由主義反対」などを唱えるグループには反対します。
そうなのですが、日本の家庭の食卓で、あるいはコンビニの「おにぎり」や「太巻き」が、あるいは牛丼チェーンや定食屋で「長粒米」というのは、認めたくありません。
日本の「国柄」を守れという議論には、まず疑ってかかる習性がある私ですが、日本の食生活や食文化において「短粒米は高いので長粒米」というのは、これは容易に認めるわけにはいきません。
これは、相撲の力士の頭が五分刈りになったり、歌舞伎のお囃子が録音になるどころの話ではないと思います。もっと激しいインパクトのある話であり、やはり冗談ではないと思うのです。
いや、変わったら変わったで「慣れるかも」しれないのが人間ですが、そもそも「変えてしまって慣れれば結果オーライ」という話では、これは済みません。