上記のように母乳には、糖質もかなり含まれていますが、それ以上の高脂質食でもありますね。
母乳が高脂質食なので、母乳育児中の乳児の血中ケトン体値は、成人基準値よりはかなり高値となります。
ヒトが吸収できる単糖には、ブドウ糖、果糖、ガラクトースがあります。
人乳あるいは哺乳類のお乳に、乳糖が含まれていることの意味は何か考えてみました。
乳糖は「ガラクトース+ブドウ糖」で構成されています。
エネルギー補給だけならブドウ糖だけでもいいようなものなのに、ガラクトースが必要なのには、理由があるようです。
乳糖が母乳の糖質の 80% 以上で、全エネルギーの 約38%を占めます。
乳糖以外には微量のグルコース、ガラクトース、種々のオリゴ糖などを含有しています。
ヒトミルクオリゴ糖(HMO)は、母乳で三番目に多い成分ですが、そのほとんどは口腔や上部消化管で分解されずに大腸まで到達し、ビフィズス菌など善玉腸内細菌の栄養源として利用されます。
善玉のビフィズス菌が栄養源を得れば、酢酸や酪酸といった短鎖脂肪酸を生成して、大腸粘膜のエネルギー源となり、また腸内を酸性に保つことで、腸内の悪玉の大腸菌群などが減少することが明らかとなっています。
ガラクトースで構成されるガラクトオリゴ糖も、同様に糞便中のビフィズス菌数増加や腸内細菌叢の改善と、これに伴う糞便中の酢酸濃度の上昇により腸内の酸性濃度を維持してくれます。
また、ガラクトースは、急速に発達する乳児の中枢神経系の完成に重要な役割を果たすとされています。
そしてガラクトースは自然免疫反応のブレーキ役を担っていますが、病原体に感染した時には、ガラクトース糖鎖の量が減少してブレーキが解除される仕組みになっています。
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