東京も大阪も人が住めないレベルに。避けられぬ海面上昇で壊滅する大都市と米トランプ再選で進む“さらなる地球温暖化”

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予想を覆す圧勝で大統領返り咲きを決めたトランプ氏に、警戒感を高める国際社会。メディアでは経済・外交面の不安が大きく取り上げられていますが、ある意味それらと同等もしくはそれ以上の憂慮すべき問題が存在するようです。今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では健康社会学者の河合薫さんが、トランプ再選が加速させかねないこれまで以上の地球温暖化を懸念。さらに予想されうる「温暖化最悪の事態」を紹介しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:「2100年」というリアル

プロフィール河合薫かわいかおる
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

最悪の事態は回避できるのか。トランプ再選で若い世代が直面する「2100年」というリアル

再び、トランプ氏が大統領の椅子に就くことになりました。日本だけでなく、世界の国々がトランプ再来に緊張しているようですが、決して見逃せないのがトランプ氏の「子供たちの未来」への選択の行方です。

日本ではあまり報じられていませんが、トランプ氏は選挙期間中「掘って、掘って、掘りまくれ(Drill、baby、drill)」を合言葉に化石燃料の採掘を積極的に推し進めることを公約に掲げていました。

そして、再選が決まるやいなやトランプ氏の側近たちは、気候変動やエネルギー政策に関する大統領令の草案準備などに取りかかっているとか。この中には「パリ協定」からの離脱も含まれています。

パリ協定は、歴史上初めて気候変動枠組条約に加盟する196カ国全ての国が削減目標・行動をもって参加することをルール化した公平な合意です。もし、世界で2番目に温室効果ガスの排出量の多い米国が再離脱すれば、パリ協定そのものが形骸化しかねません。それは同時に、温暖化の最悪のシナリオへの足取りを確実かつ加速させることを意味しています。

産業革命の最中、工場から立ち上る黒い煙を見た科学者のスヴァンテ・アレニウスは「この煙が私たちの生活に及ぼす悪影響に多くの人が気づいたときは、手遅れになる」と地球温暖化を憂いました。

今年の世界的な暑さや豪雨を振り返れば、誰もが「黒い煙の悪影響」に気づいたはずです。

実際、2024年の世界の平均気温は、観測史上最も暑かった23年を上回り、産業革命前の水準よりも1.5度以上高くなることが確実です。「パリ協定」では上昇幅の制限を1.5度としていますから、危険水域に入った。「手遅れになる」かなんとか最悪の事態を回避できるか?それは「私」たち次第です。

では、最悪の事態とはどんな世界か?

いくつかのシミュレーションがあるのですが、北極海の海氷が年々溶け続け、約80年後の2100年夏には、ついに海氷がほぼなくなってしまうという予測結果は共通して報告されています。

2100年と聞くとはるか未来に感じるかもしれません。しかし、76年後です。5歳の子供は、2100年には、まだ81歳です。10歳なら86歳、20歳でも96歳ですから、生きてる可能性が極めて高いのです。

しかも、世界気象機関(WMO)によれば、仮に気温上昇が1.5℃に抑えられたとしても、海面上昇は持続し、最大3m程度になると予測されています。1mの海面上昇とは、東京、大阪、名古屋、福岡、札幌などの大都市圏で、人が住めなくなってしまうレベルで、人命に関わる被害が多発するとされています。

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