カロリー計算は間違いだらけ?現役医師が忠告「消化の複雑さを考えていない」

 

今までアトウォーターの換算係数に基づくカロリー計算に関して、きっちり追試した研究は皆無だったのですが、ハーバード大学のカーモディーが近年研究したものがあります。

カーモディーの原著までは、調べていません。

マウスにさつまいもか赤身の肉を与えて、体重の変化を比較したものです。

1)生で形もそのまま

2)生で砕いたもの

3)形はそのままで加熱

4)砕いて加熱

結果は、食材を砕いても体重は増加しませんでしたが、加熱すると、さつまいもでも赤身の肉でも、加熱していない餌のマウスに比べて体重が増えました。

加熱によって、消化吸収しやすくなり、摂取エネルギーが生食マウスに比べて、多くなったったと考えられます。

こうなると、アトウォーターの換算係数に基づくカロリー神話は、加熱という調理法だけでも、簡単に崩壊していることがわかります。

さらに、上記A)B)C)の、3つの鍵となる概念(KEY CONCEPTS)を考慮すれば、人体の消化・吸収におけるカロリー計算はそう簡単にはいかないということがわかります。

また、B)を勘案すれば、太りやすさには個人差があることが容易に理解できます。

このように、食物の正確なカロリー計算は、ほぼ不可能と言えるのですが、生肉、生魚、生野菜を食べると、加熱するよりは減量しやすいことは確かなようです。

通常、魚の刺身はOKですね。

しかしながら、生肉はハードルが高いです。

生食用の牛レバーと豚肉は提供禁止です。

ユッケは腸管出血性大腸菌O111による食中毒の危険性がありますので、規格基準の要件が、大変厳しくなりました。

鶏肉を生や半生で食べると、カンピロバクター食中毒やサルモネラ食中毒のリスクがあるのでこちらも要注意であり、規格基準がとても厳しくなりました。

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(財)高雄病院および(社)日本糖質制限医療推進協会 理事長。内科医。漢方医。京都大学医学部卒、同大胸部疾患研究所等を経て、1978年より医局長として高雄病院勤務。2000年理事長就任。高雄病院での豊富な症例をもとに、糖尿病治療、メタボ対策としての糖質制限食療法の体系を確立。自らも二型糖尿病であるために実践し、薬に頼らない進行防止、合併症予防に成功している。

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