感染者の半数が死亡。コンゴで広がる「疾病X」
で、ここからが本題なのですが、アフリカ大陸の真ん中あたりにあるコンゴ民主共和国(旧ザイール)で、今、謎の感染症が発生し、多くの死者が出ているのです。まだ名前もつけられておらず、暫定的に「Disease X(疾病X)」と呼ばれていますが、今年10月下旬、首都キンシャサから南東に約700キロほど離れた隣国アンゴラとの国境にあるクワンゴ州パンジ地区で、初めて確認されました。現在は、子どもを中心に感染が広がっています。
感染者は、激しい頭痛や高熱、下痢や嘔吐、呼吸困難や貧血など、インフルエンザや新型コロナに似たような症状だということですが、恐ろしいのはその死亡率です。現地の保健当局の12月3日付の発表によると、これまでに376人が感染し、そのうち少なくとも143人が死亡した」とのこと。感染者の半数が死亡しているのです。そして、感染者の半数以上が5歳未満の幼児を中心とした子どもだというのです。
そして、さらに恐ろしいのは、発生が確認されてから1カ月が過ぎているのに、この「疾病X」の感染が、細菌によるものなのか、それともウイルスによるものなのかさえ、未だに分かっていないことです。現地の市民協議会のルシアン・ルフトゥ代表によると「現地では未知の感染症であることが広くは知られておらず、感染者の大半が設備の整っていない地元の開業医で診断や治療を受けている」とのこと。
アフリカ大陸全体の感染症などを監視する「アフリカ疾病対策センター」のジャン・カセヤ所長によると、今回の「疾病X」は「10月下旬に最初の症例が確認されてから、コンゴの中央政府にその報告が届くまでに5~6週間かかっている」とのこと。これは今回だけでなく、疾病検出インフラが脆弱なアフリカの複数国に共通することであり、この「1カ月遅れ」の報告を受けたコンゴのロジャー・カンバ保健相は、12月5日、首都キンシャサで記者会見を行ない、次のように述べました。
「これは監視が必要なレベルの疫病であり、われわれは最大限の警戒態勢を敷いている」
そして、こう付け加えました。
「これまでに医療施設で確認された死者数は27人である」
そう、これは5~6週間前の報告を元にした会見であり、さっきも書いたように、現地クワンゴ州の保健当局は、2日前の12月3日の時点で「少なくとも143人が死亡した」という最新データを発表していたのです。
コンゴの首都キンシャサの人口は、東京を遥かにしのぐ約1,700万人であり、致死率50%の未知の感染症が流入してしまったら大変なことになります。そして、首都キンシャサに「疾病X」が流入してしまったら、あっと言う間にアフリカ全土や欧米へ、そして日本にも広がる恐れがあるのです。
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