アメリカの次期大統領がトランプ氏になることで、日本に大きく関わりを持ってくる駐日大使も新たに指名されました。今回のメルマガ『浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』』では国際政治経済学者の浜田和幸さんが、ビジネスマンとしては有望な新駐日大使がどのような姿勢で日本と関わるのかについて、詳しく語っています。
トランプ次期大統領の対日政策:新駐日大使は大金持ちで対中強硬派
ぶっちゃけ、次から次へと話題満載の「トランプ砲」を撃っぱなす次期大統領です。
今週もフロリダの私邸に安倍昭恵夫人を招き、安倍元総理を偲ぶ夕食会を開きました。
石破総理から発せられた面談の希望は、すげなく拒絶してきたわけですが、昭恵夫人とは頻繁に電話連絡を取り合ってきたそうです。
そうした日頃のやり取りを重視するのがトランプ氏。
とはいえ、日本は大事な「メイド・イン・USA」の売り込み先で、無下にはできません。
「どうしても俺に会いたいなら、いつでも会うよ。どこかの帰りがけにちょっと寄りたいというのでは、俺も忙しいからダメさ」というのがトランプ流です。
今回、昭恵夫人に自分のサイン本を託け,「石破総理に宜しく」と伝言を頼みました。
「上げたり、下げたり」と、それなりの配慮を見せています。
そもそも、断られるのを承知で、中国の習近平国家主席を1月の大統領就任式に招待しているのがトランプ氏の強かな外交スタイルに他なりません。
そんなトランプ氏が新駐日大使に指名したのが大富豪のジョージ・グラス氏です。
銀行経営や不動産投資で富を築き上げ、先の大統領選挙でもトランプ氏に多額の献金を行っていました。
トランプ氏の一期目には駐ポルトガル大使を務め、中国による投資案件に反対するなど、対中強硬派として勇名を馳せた人物です。
トランプ氏曰く「グラス氏は有能なビジネスマンだ。経営者の経験と視点でアメリカの外交を新たな高みに押し上げてくれるだろう」。
上院での承認が必要になりますが、上下両院で過半数を獲得したトランプ共和党ですから、問題はありません。
前任のエマニュエル大使はシカゴ市長を務め、その後クリントン、オバマ両政権で大統領補佐官として政治畑を歩んできた人物です。
今後は民主党全国大会の中枢に食い込み、将来の自身の上院議員選挙に向けての準備を加速させるに違いありません。
そんな政治志向の強い前任者と比べ、グラス新駐日大使は日鉄のUSスチール買収提案など、日米間の経済通商関係の課題解決に注力するはずです。
3人の子供の父親ですが、長男は千葉県で英語の教師を務めていました。
家族でと共に日本で暮らしていたため、父親のグラス氏も日本にしばしば足を運んでいたとのこと。
中国には厳しい姿勢で臨んできましたが、日本に対しては親近感を抱いているようです。
トランプ氏の意向を受け、硬軟織り交ぜた「対日外交」を展開してくるでしょう。
ぶっちゃけ、エマニュエル大使とは価値観も肌合いも違い、トランプ流のビジネス優先の「ディール・メイカ─」の登場となります。
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