ロサンゼルス近郊で起こった山火事は今月7日から1週間以上も鎮火することができないまま続いています。山火事の発生は20年前に比べると2倍以上にも増えており、これは温暖化の影響が少なからずあると語るのは、健康社会学者の河合薫さん。河合さんは自身のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』で今回、温暖化問題と山火事の関連について語っています。
温暖化と山火事の悪循環
米カリフォルニア州ロサンゼルス近郊を襲っている山火事が、強風の影響で再び厳しい状況に直面しています。
13日午後時点で、約9600ヘクタールが焼失したパリセーズ火災の鎮火率は14%、約5600ヘクタールが焼失したイートン火災では少なくとも3分の1が鎮火したそうですが、さらなる強風により新たな火災の発生が予想されているのです。
SNSなどでも衝撃的な映像が報じられていますが、カリフォルニア州南部では秋から春にかけて「サンタアナ風」と呼ばれる高温で乾燥した局地風が吹くためこれまでも山火事多発の原因として住民を脅かしてきました。
また、カリフォルニア州北部のサンフランシスコ周辺でも、悪魔の風として知られるディアブロウインドが吹き荒れ、山火事の被害を度々受けて来ました。まとまった雨が降らない限り鎮火には至らないのが、この地域の山火事の特徴と言われているだけに……心配です。
山火事などの森林火災は世界各地で発生していますが、温暖化の影響で焼失する面積は拡大し、20年前と比べると2倍近くに広がっているという報告もあります。
記憶に新しいところでは、2023年にハワイ・マウイ島で起きた森林火災です。24年7月にはカナダ西部の国立公園で山火事が起き、およそ2万5000人が避難しました。8月には、アマゾンの熱帯雨林で発生した森林火災の煙が、ブラジルの広範囲に広がり、大気汚染によって呼吸器疾患が悪化する可能性があると指摘する声が相次ぎました。
温暖化の影響は緯度や地形により異なります。山火事は乾燥した地域と局地風が被害を拡大させる要因ですが、特に大きく関係するのが干ばつの発生頻度の増加と、規模の拡大です。
やっかいなのはひとたび大規模な森林火災が長期間続くと、大量の二酸化炭素が発生、温暖化を加速させる可能性です。
実際、ブラジルの森林火災の件数は19年に10万件を超え、前年同時期比で45%増。火炎から排出されるブラックカーボンが太陽放射を吸収するため、地球温暖化を加速させることになってしまったのです。
今、この時間も、ロスでは多くの人たちが被害にあい、一刻でも早く沈火させるために消防士たちが戦っています。しかし一方で、「今の惨事」が「未来」を破壊させない取り組みも進めなくてはなりません。
本メルマガでは度々温暖化問題を取り上げていますが、「私」たち一人一人の小さな行動が未来を照らします。節電、省エネ、食品ロスの削減、プラの削減、一つの洋服を長く着る、マイバック、マイボトル、マイ箸など、積極的に進めましょう。
そして、日本の山火事は減少傾向にありますが、温暖化では極端な気象現象が起こります。雨が降るべき時に降らず、異常な高温や乾燥、局地風などの条件が重なれば、日本でも大規模な山火事が発生する可能性がある、ということをお忘れなく。
みなさんのご意見、ご経験など、お聞かせください。
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