5.自然と調和したライフスタイル
更に、侘び寂びを追求すると、「自然との調和」に行き着く。
西欧文化では、自然は征服するものと考えている。自然環境を取り払い、人工的な建造物で埋めつくすことが西欧文明の特徴である。
しかし、日本では、自然環境を「借景」にして、自然と一体化した庭園を造る。あるいは、「枯山水」のような人工的造形で自然から受ける高い精神性を表現しようとする。
現代の都市は、完全な人工物で構成されている。それでも、東京は中心に「皇居の原生林」、「自然に近い明治神宮の森」がある。日本中に点在する神社も白木や茅葺など、自然の素材が活かされた建築様式であり、鎮守の森のように樹木に囲まれている。
自然と調和した住宅、自然と調和したファッション、自然と調和した食生活、自然と調和したビジネス、自然と調和したライフスタイル、自然と調和した政治とは何かを考える時代が、侘び寂びの時代ではないか。
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■編集後記「締めの都々逸」
「人を押しのけ 疲れるよりも もののあわれを 感じたい」
米国に代表される浪費文化が終わろうとしています。そもそも地球はそれほど大きくありません。豊かになって浪費をする人が増えたら、一方で困窮する人が増えます。人間が必要な食料の量は、所得に比例しません。住宅の広さも、機能だけを考えると、コンパクトな住宅で十分です。広い家を維持するには多くのエネルギーが必要です。
お金持ちになっても、モノを大量に消費するのはやめましょう。骨董品の収集は良い趣味ですね。資源もエネルギーも使いません。でも、勉強は必要です。
消費ではなく自己実現。GDPは下がってもいいのです。消費せずに幸せになることを目指しましょう。侘び寂び。(坂口昌章)
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