確かに、特別ではあります。アメリカの中でもここニューヨーク、特にマンハッタンは世界一物価高ではある。でも、そう特別でもないことが価格調査サイトを見ればわかります。世界の価格サイトにおいて(2024年)世界の平均ランチ単価は、スイスが世界1位の3,300円。市単位でいうとニューヨーク市が世界1位の約4,100円。1回あたりのお昼ごはんに4,000円をかけるのが平均ということです。
日本は49位の900円。もちろん国とイチ都市を比べるのはフェアではないけれど、ニューヨークの5分の1です。
「ビッグマック指数」というものがあります。マクドナルドのビッグマックは世界中にあり、材料はどこの国でもそう変わらない。でも材料費や人件費や家賃には差が出ます。なのでその価格で各国の経済力を比較する為の指標です。
国でいえば1位はスイス。ビッグマック1個925円。市でいえばニューヨーク。1個1,230円。日本は390円。
ビッグマックの価格そのものに注視するのではなく、スイス国民はビッグマックに900円以上出せる所得が平均であるということまで踏みこんで考える。スイス人は優秀なのか。いや、誓ってもいいけれど、日本人ほどある意味優秀な国民は世界にいない。
つまり、世界は基本、個人の所得が上がっていくものだということです。欧米諸国の場合、物価に比例して個人の所得が上がっているということです。いや、正確に言うなら、個人の所得が上がっているから、供給サイドが価格を上げていっている。それが実情。
その感覚を日本人はまるまるすっ飛ばしている。すっ飛ばして「高い!」「安い!」とだけ騒いでいる。究極、億万長者になればビッグマックの価格に一喜一憂することはない(てか、億万長者になったらビッグマック食べねえか。オレは食べるけど)。
思えば、僕(1973年生まれ)たちが子供の頃、「値上がり」は当たり前でした。経済が発展していくとともに(語弊はあれど)「値上がり」は豊かさの象徴でもあった。
それがいつの間にか「値上がり」はただの悪の対象になっていった。輸入した原材料が上がるたび、企業、店主は申し訳なさそうに値上がりを告知する。値上げする方も、値上げされる方も、肩身を狭くする。そんな現状をつくった要因は…やはり「バブル」です。
バブル以降、日本は約30年間、賃金が上がらなくなりました(そりゃあ、値上げ、許せなくなるわ)。
もしみんなの給料も上がっていれば、値上がりはそこまで怖くなかったはず。そう、物価が上がるのが怖いのではなく、給料が上がらない状態の方がずっと怖いのです。そのあたりを指摘する日本人は、結局 僕の周りでは皆無でした。
では、なぜ給料が上がらないのか。
景気については、日々、経済専門家があれやこれやと色々な意見を言っています。輸出入のバランスによる構造要因。高齢化による購買減少の需要要因。銀行などの金融仲介機能低下による金融要因。そのあたりが主なのは間違いないようだけれど、専門外で金融経済シロートの僕には正解も対策もわからない。
ただこれだけは言えます。
ほんの数日間だけでも、世界一高い物価の街をーーー。(『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』2025年2月3日号より一部抜粋。続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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