トランプ支持者たちが未だに信じ込んでいる「教祖」のデマ
昨年の大統領選で、トランプは数えきれないほどのデマを垂れ流しました。その中で、いかにもトランプらしいのが「オハイオ州スプリングフィールドに流入して来たハイチ系の移民たちが、そこに住んでいるアメリカ人たちのペットの犬や猫を盗んで殺して食っている」という、とんでもないデマです。
ちなみに、トランプは「流入して来た」という表現で、いかにもハイチ系移民が「不法入国者」であるかのような印象操作を行ないましたが、スプリングフィールドで生活しているハイチ系の外国人は、米政府の許可を得て合法的に滞在している移民です。トランプの隣りにいるイーロン・マスクと同じく、米政府の許可を得て合法的に他国から入国して来た移民であって、決して犯罪者ではないのです。
このトランプのトンデモ発言は波紋を広げ、オハイオ州の市庁舎に爆破予告が届くという事態にまで発展しました。市の担当者は「トランプ氏が言ったような事実はない」と否定し、市警も「ペットが盗まれたり食べられたりしたという報告はない」と述べ、マスコミ各社は「トランプ氏の発言は事実無根」と報じました。
それなのに、嗚呼それなのに、それなのに…と、このコーナーでも五七五で嘆いてしまいますが、トランプ支持者たちは未だに「スプリングフィールドのハイチ系外国人は不法入国者であり、ペットの犬や猫を殺して食っている」と信じ込んでいるのです。日本にも、未だに「関東大震災の時に朝鮮人が井戸に毒を入れた」というデマを信じ込んでいる人もいれば、「在日特権」というデマを信じ込んでいる人もいますが、これと同じです。
あたしは当初、こうした人たちって、単にリテラシーが欠落しているだけだと思っていました。でも、目の前に「それは事実無根のデマである」という確たる証拠を突き付けても頑として受け入れず、そのデマを信じ続けるのですから、もはやリテラシーうんぬんではなく、一種の宗教のようなものだと理解しました。
また、あたしは、中にはデマだと知りつつも信じたふりをしている人たちが、一定数はいると思っています。「無理が通れば道理が引っ込む」ということわざがありますが、何らかの目的のために、自分の「無理」を押し通すことで、強引に「道理」を引っ込めさせようとしている人たち。たとえば、自分の排外主義を正当化するために、自分でもデマだと知っている「在日特権」をあたかも事実であるかのように連呼して、世の中の「道理」を引っ込めさせようとする人たちです。
トランプ支持者の場合は、カネ儲けのためにトランプに擦り寄る恥知らずな大企業のトップなどもいますが、大多数はトランプのデマを鵜呑みにしている脳みそがピュアすぎる人たちだと思います。トランプが「地球温暖化など嘘だ!」と叫べば「ウォー!」と拳を挙げ、トランプが「石油を掘って掘って掘りまくるぞ!」と叫べば「ウォー!」と拳を挙げるトランプ支持者たち。
こんな人たちには、いくら地球温暖化について科学的に説明しても、パリ協定の重要性について段階的に説明しても、1ミリも理解されないでしょう。それどころか、これは宗教と同じなので、教祖トランプの発言を否定する文言に対して、トランプ支持者たちは最初から聞く耳など持たないのです。
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