吉本興業所属のお笑い芸人「ダイタク」吉本大や「9番街レトロ」なかむら★しゅんが、インターネット上の「オンラインカジノ」で違法賭博をした疑いで警察から事情聴取を受けていた騒動。9日放送の『ワイドナショー』(フジテレビ)では、出演者が「僕も違法と知らなくて」「課金ゲームとの区別が難しい」などと“芸人仲間”を擁護した。だが現実には、「ゲームとの区別が難しい」からこそ、子供や若者がオンラインカジノにハマり、数千万円の負債を抱える事例が急増している。メルマガ『幸せなお母さんになる為の子育て』の著者・パピーいしがみ氏が詳しく解説する。
日本の「オンラインカジノ汚染」は東京五輪メダリストから吉本芸人へ
こんばんは。パピーいしがみです。
今日のメルマガの内容はかなり怖いです。でも、以前から私が言っていたことが「本当になりつつある」という意味で、お知らせさせていただきます。<中略>
今週、ニュースをご覧になった方は「オンラインカジノ」という言葉を何度かお聞きになったと思います。
吉本興業所属の芸人さんがオンラインカジノをやって摘発されて、そのニュースが一気に広がったのですが、実はオンラインカジノについては、すでに先々週1月29日に、東京五輪 卓球男子の銅メダリスト・丹羽孝希(にわこうき)さん(30歳)が書類送検されています。
本人は「違法とわからずやっていた」と言われているようですが、日本では賭博行為はオンラインでもリアルでも、すべて違法です。
多くの方は「合法と違法のものがある」と誤認識をしているようですし、サイトにも「このカジノは合法です」と書いてあったり、海外で活躍する日本代表のサッカー選手を起用したCMが、なんとスポーツ専門の動画配信サイト『DAZN』で現在も放映されていることからも、非常に敷居が低くなっているのです。
「課金ゲームと勘違いしやすい」からこそ子供が犠牲になる
オンラインカジノは海外では合法ですから、海外で活躍するサッカー選手がそのCMに起用されていたとしても、彼らを罪には問えないのかもしれません。
でも、そのCMが日本にいる若者をターゲットとし、「海外サイトで賭博をすれば大丈夫」などと誤解させているのは事実です。若者はスマホに慣れていて、キャッシュレスにも抵抗がないからこそ、ゲーム感覚でオンラインカジノに参加してしまうケースがどんどん増えています。
繰り返しますが、日本で賭博行為をすればすべて違法です。
海外旅行をして海外で賭博をする分には、日本の管轄から外れるので罪には問われませんが、海外のサイトを使ったところで、日本国内にいてオンラインカジノをすればすべて違法となります(警察も本格的に動き出すようです)。
オンラインカジノといえば、大谷翔平選手の元通訳の水原一平さんがハマって、大谷選手のお金を横領していましたね。その損失はなんと「4067万8436ドル(約62億円)」だそうです。
そんなオンラインカジノをなぜ、今回、メルマガの題材にしたか?というと、「オンラインカジノの入り口はゲーム」だと言われているからです。そう。ゲームで遊んでいる子供たちなら誰でも、その罠にハマってしまう可能性があるのです。
「ゲーム」のはずが一家崩壊、オンカジで数千万円損失も
統計として見た場合、2024年の調査では、オンラインカジノの利用者のうち20代の68%が「オンラインカジノをゲームと同一視」しており、違法性認識の低さが問題だと言われています。
日本国内の推定ユーザー層は265万人。そのうち20~30代が75%を占め、うち60%がモバイルゲームからの流入であり、42%がゲーム内課金経験者だということです。
デジタル分析会社「シミラーウェブジャパン(東京)」の調査では、オンラインカジノへの日本からのアクセス数は2018年12月は月間で70万回だったものが、2019年から急増し、2021年9月には8300万回を上回ったとあります。
そして、「ぬじゅみ」という社会復帰施設(借金やギャンブル依存症になってしまった方に社会復帰のためのグループミーティングなどを実施)には、「大学生の娘がネットカジノにはまってしまい、700万円ぐらい使ってしまった」といった相談が寄せられており、中には「オンラインカジノによる借金が、全部合わせて7000~8000万円にのぼってしまった」家庭もあるとのことです。
キャッシュレス化が進むことでリアルな金額がイメージできず、誘惑にのめり込んでしまい「ここでやめておこう」の判断もできなくなっている、などの背景がありそうです。
私が常々お話ししてきた「キャッシュレス」で子供にお金の価値を教えない怖さ、さらに、早い段階で“誘惑に負ける練習”を子供にさせず、誘惑と上手に付き合う勉強を「させてこなかった」ことの弊害が、ここにきて、厳しい現実として現れてきたと言えそうです。
その懸念は、すでにYouTubeでもお話ししています。
オンラインカジノによる借金が2000万~3000万に膨れ上がるのは珍しくない、と言います。男女関係なく、スマホからオンラインカジノにハマってしまった、というケースは非常に多いそうです。
お金に困らない子供とギャンブルにハマる子供。教育格差はより深刻に
そして、オンラインカジノで莫大な借金を負った若い人が何をするか?というと――
「借金を返すために闇バイトに応募する」
簡単にお金を稼げるという謳い文句の、「闇バイト」に手を出すようになる、というのですね。
公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」(東京)によると、20~30歳代の若者が多額の借金を抱え、特殊詐欺で現金を受け取る“受け子”や、口座売買等の闇バイトに手を染めるケースも目立つと言われています。
闇バイトに加担すれば「実行犯」や「手先」として利用されるだけで、その代金が払われるよりも先に「収監」されてしまい、執行猶予もなく実刑となります。
これらはすべて「キャッシュレス化で、お金の価値が認識しにくい」そして「誘惑との上手な付き合い方を知らない」ことに起因するもの。
そしてその背景に若者をターゲットとした、ギャンブルや犯罪への敷居を低く感じさせる「勧誘戦略」があることは、もう紛れもない事実です。
だったら、私たち親は何をしなければならないか?というと「お金の価値」を教えたり、早い段階で“誘惑に負ける練習”をさせることで、正しい誘惑との付き合い方を教えなければならないのですね。
でも、はっきりいって、昔は今のようにデジタルが進んでもおらず、それほど誘惑も多くなかったのです。だから親が多少不注意でも、知識がなくても、教えていなくても、大事(おおごと)にはならなかったのですが……。
今は、あちらこちらにこういう大穴が空いているので、親がどれだけ子供に「教えることができるのか?」「親の子育てに対する考え方」が大事になってきているんですね。
そういう意味では、現代の親は本当に大変だとは思いますが、私は日本の未来は大きく2分すると思います。
片方は、しっかり将来を見据えて、今できる最善を教え準備できる親に育てられた子。そしてもう片方は「何も考えなかった親」に育てられた子。
親がつねに学び、子供に教えることのできたケースは多分、数%にしかならないと思います。そして、その他大勢の残念な子供たちが大人になり、巷に溢れかえるだろうと思います。
子供達に教えるべきことはたくさんあります。
「勉強だけやっていればいい」「運動だけ頑張ればいい」――。「◯◯だけ」の時代はとっくに終わっているのですが……気づいていない人が本当に多いのです。
不安にさせてしまったら、大変申し訳ないのですが、私が想像していた未来がもうすぐそこに来ている、という事実を本日はお知らせさせていただきました。
本当に……1人でも多くの方に正しい子育ての勉強をしてほしい……!!(心の声です)
image by: ダイタク プロフィール|吉本興業株式会社