孫正義氏は「いい意味」で金づる?年間4500億円もの“使用料”をOpenAIに支払う大バクチ

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Chat GPTのOpenAIとソフトバンクグループ株式会社が手を組み、企業向け最先端AIを開発、販売していくという発表がありました。それについて、今回のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』ではケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川さんが、ソフトバンクが年間4500億円もの使用料を支払い続けるというプロジェクトの中身について詳しく紹介しています。

ソフトバンクグループ株式会社がOpenAIに年間4500億円の「使用料」—-クリスタル・インテリジェンスはいつ輝き出すのか

2月3日、ソフトバンクグループ株式会社とOpenAIは企業向け最先端AI「クリスタル・インテリジェンス」を開発、販売していくと発表した。

このイベントを受けて、慌ててCNET Japanで記事を書いたのだが、すぐに複数のソフトバンク広報担当者から間違いの指摘を受けて、原稿を修正する羽目になってしまった。孫会長のしゃべりと、プレゼン資料、さらにはプレスリリースをじっくり読んで、さらに広報担当者に指摘してもらわないと、なかなか理解できない座組になっていたため、当初は事実誤認をしてしまったようだ。本当に申し訳ない限りだ。

ややこしいのが、投資会社としてあるのが「ソフトバンクグループ株式会社」で、携帯電話事業などを手がけるのが「ソフトバンク株式会社」、ソフトバンク株式会社の傘下にはLINEヤフーやPayPayなどがあるが、これらを総称して「ソフトバンクグループ」と言っていたりする。

今回、設立される「SB OpenAI Japan」はOpenAIおよび「ソフトバンクグループ株式会社」と「ソフトバンク株式会社」が設立する中間持ち株会社がぞれぞれ50%出資して設立する合弁会社となり、SB OpenAI Japanは「ソフトバンク株式会社」の連結子会社という位置づけになる。

SB OpenAI Japanはクリスタル・インテリジェンスを独占的に販売する会社となり、その第1号となるのが「ソフトバンクグループ」だ。

プレゼン資料では「ソフトバンクグループ株式会社」のロゴが使われるべきなのになぜか「ソフトバンク株式会社」のロゴが使われていて、これがややこしさに拍車をかけていた。

発表イベントでは「4500億円」を使用料として支払うというのが注目されたが、これは「ソフトバンクグループ株式会社」がOpenAIに対して、毎年支払うということになっている。

結局のところ、毎年、OpenAIに「ソフトバンクグループ株式会社」が投資をしているようなものであり、「使用料」という巧みな言葉遣いで、うやむやにされている感がある。結局、いい意味で孫さんはサム・アルトマンCEOの「金づる」ということなのだろう。いい意味で。

OpenAIにとってみれば、毎年4500億円が入ってくるわけで、これで安定して生成AIの開発に従事できるというわけだ。

KDDIの高橋誠社長は「正直、AI、LLMの世界がものすごいスピードで動いている中、OpenAIだけにスティック(固執する)のはどうなのかと個人的には思う」とコメントした。

孫さんとしてはOpenAIがかつてのヤフーやアリババのように大化けするとみているからこそ、このタイミングでクリスタル・インテリジェンスという枠組みを使って、毎年、4500億円を投資する大ばくちに打って出たのだろう。ただ「使用料」ということは、OpenAIがどんなに大化けしても、返ってはこないお金になる。

果たして、クリスタルがいつ光り出すのか、楽しみでならない。

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日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

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