他のキャリアに遅れて、楽天モバイルも春商戦に向けたキャンペーンをようやく発表しました。楽天経済圏でポイントがたまりやすい仕様、その還元で通信料が「実質無料」──。そんなキャンペーンについて、今回のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』ではケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川さんが、その詳細と発表のタイミングの「遅さ」を指摘しています。
楽天モバイルが「永年無料」「実質1年無料」をアピール—-春商戦開始のタイミングが毎年遅いのはなぜだ
楽天モバイルは2月14日、春商戦に向けたキャンペーンを発表した。5~18歳の学生向け、19~25歳の新生活などを応援するものとなっている。
楽天モバイルを申し込み、楽天カードでの決済とし、楽天市場を使うことで、1万4000ポイントが還元される。
データ3GBとしての928円が12ヶ月分、還元されるということで「実質1年無料」をアピールしている。
また、一方で「楽天モバイルは永年無料」という言い方もしている。楽天市場での買い物や楽天トラベルで旅行することでポイントが還元されるので、通信料が「実質無料」というわけだ。
楽天グループとして、楽天経済圏でポイントがたまりやすく、その還元によって通信料の負担がほとんどないというアピールをしたいのは理解できる。
ただ、他のショッピングなどでのポイントで通信料の負担が下がるのを「実質無料というのは他社からも突っ込まれそう」と心配したが、よく見たら、KDDIも「auマネ活プラン+」でサービス利用や決済特典でのポイント還元を含み、税抜き7980円を「実質2980円(税抜き)」をアピールしている。どこも似たり寄ったりであり、楽天モバイルがそうアピールしたいのも、理解できるようになってしまった。
ただ、楽天モバイルが「もったいないなぁ」と感じるのがキャンペーンの開始時期だ。
記者会見を行った2月14日からスタートだと言うが、春商戦向けならば、あまりに遅すぎではないか。
実際、先週末、近所のイトーヨーカドーに出かけたが、エスカレーター横のスペースに、NTTドコモとKDDIが出店していて、しかもどちらもテーブルで契約手続きをしている人であふれていたのだった。
楽天モバイルとしてはリアル店舗を重視していないのかもしれないが、すでに1月から2月中旬にかけて、回線契約を見直している家族も多いわけで、そうした需要をまるまる取りこぼしていることになりはしないか。実際、楽天モバイルのキャンペーンがどんなに得でも、1月に他社で契約を見直した家族は楽天モバイルに見向きもしなくなるはずだ。
そのあたりを鈴木和洋共同CEOに突っ込んだところ「検討の結果、この時期が最適だと判断した。受験も終わり、新生活に向けて準備を始める人が増える時期であり、タイミングとしては『ドンピシャ』ではないか」という。
ただ、昨年、「最強家族プログラム」を発表したのも2月13日であった。
おそらく、昨年の経験からも、このタイミングで十分だという判断なのかも知れない。とはいえ、他社のように年末ぐらいからアピールするだけでも、多くの人の検討材料になるような気がするのだが、楽天モバイルとしては独自のマーケティング調査とかしているのだろうか。
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