特に「シリーズ検証・C型肝炎」は、血液製剤・フィブリノゲンのC型肝炎ウイルスに汚染された事実を2001年に明らかにしたもので、「ニュースJAPAN」を通じて報じられた。
日本国内だけで推定200万人以上の感染者がいるとされるC型肝炎の実態を丹念な取材でC型肝炎の感染源に血液製剤が関与している「薬害」を解明していく模様は、フジテレビの硬派な一面を示し、記者時代の私は強く、その報道の力を印象付けられたのを覚えている。
この報道は、C型肝炎の患者らが国や製薬メーカーを相手取った集団訴訟にもつながり、社会で潜在化した問題をあぶり出した。
さらに、米国における放送界のピュリッツァー賞と呼ばれるピーボディ賞も2002年に日本のテレビ局で初めて単独受賞した。
その功績は民間放送のジャーナリズムを語る際には大きな功績であることは間違いない。
また初めての受賞となった1985年の日航ジャンボ機墜落事故は、夏休みの夕方、生存者が確認された映像に子どもだった私は自宅のテレビで釘付けになった。
その後、記者となって墜落現場の御巣鷹山に行った時も脳裏に浮かぶのはフジテレビの映像だ。
それはきっと、航空機事故を二度と起こさないという関係者の中にも生き続けているように思う。
スクープに向けたメンタリティや組織による奨励が、企業体質として無理筋の話として成立していたのであれば、その体質は見直すべきであろうが、それだけで報道の結果は出ない。
地道な努力、準備やアプローチによって得られた結果としてのスクープ報道は、社会の不正や不公平、不平等を是正するために機能する情報として、正しく評価するべき仕事だ。
フジテレビはその功績に胸に張りつつ、どこかで間違った企業姿勢を報道から見直し、足場を固めてみてはどうだろう。
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