中居正広氏の女性トラブル騒動が発端となり、第三者委員会を設置して経営体質を見直す機会を得たフジテレビ。そんなフジについて語るのは、生きづらさを抱える人たちの支援に取り組むジャーナリストの引地達也さん。引地さんは、自身のメルマガ『ジャーナリスティックなやさしい未来』の中で、フジテレビの報道機関としての「功績」を紹介しながら、今こそ報道機関として再生する機会だと語っています。
最多の新聞協会賞を誇るフジテレビの報道に再生を期待する
元スマップのタレント、中居正広さんの女性トラブルの報道から始まったフジテレビの騒動は、中居さんの引退や企業のCM差し止め、企業の姿勢や経営体質を問題視するなど、その波紋は大きく広がっている。
限られた数の東京キー局として、民間放送や放送文化を担ってきた、時には先駆的な番組作りで、新しい放送の価値を示してきた「文化産業」の一躍を担う企業として、悪化した体質を見直し、再生をし、今後も文化創造に寄与してほしいと願っている。
同時に、情報産業として、これまで培ってきた報道の気概も忘れずに、絶えず報道機関としての役割も強く認識して活動してほしい。
フジテレビの再出発点をバラエティ番組で業界を席捲した成功体験から反省し、報道で真実を伝えようとする姿勢に立ち返るのはどうだろう。
なにしろ、フジテレビは民間放送で最多を誇る新聞協会賞受賞の実績があるのだから。
新聞協会賞は1957年度以来、毎年、「最も評価される報道」が受賞するもので、新聞やテレビ局の報道を対象とし、今年一番のスクープやインパクトを与え、なおかつ社会的影響力のあった報道が選ばれる。
必然的に強固な報道体勢を誇り、政府への取材のアクセスが容易な全国紙や通信社、NHKが受賞するケースが多い。
その中で民間放送の受賞は決して多くはない中で、フジテレビは最多の5回受賞している。
1985年度「スクープ日航ジャンボ機墜落事故『墜落現場に生存者がいた!』、2020年度「コロナ重症病棟 医師たちの闘い」、2016年度「鬼怒川決壊『濁流に呑み込まれる家族』のスクープ映像」、2008年度「ミャンマー軍兵士による長井健司さん銃撃の瞬間ビデオ映像スクープ」、2002年度「シリーズ検証・C型肝炎」である。
民間放送での次点は、最も歴史のある日本テレビの2件で、1965年度「「国内航空機・帯広で片足着陸─機内でのフィルム取材」、1991年度「特別企画 感動!そして発見!ソ連横断4万キロ~激動編~」。
比較をすると、フジテレビの報道での奮闘ぶりが確認できる。
この記事の著者・引地達也さんのメルマガ