今、ビジネス保守界隈が大変なことになっている。蜜月だったはずの論客たちが、壮絶な内輪揉めを始めたのだ。「えぇ…なんで花田さんと百田さんがケンカしてるの…」と戸惑っている読者も多いことだろう。そこで本稿では、小林よしのり氏主宰「ゴー宣道場」の寄稿者で作家の泉美木蘭氏が、ネトウヨ界の最新情勢を詳しく解説していく。(メルマガ『小林よしのりライジング』より)
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:日本保守党の末期症状が凄まじすぎた
日本保守党の末期症状が凄まじすぎた
かつてネットでは、「民主党のせいでこうなった」とさえ言っていれば、保守っぽいスタンスを醸し出して、エア・マウントを取ることができていた。
特に排外主義のネトウヨたちは、左派のことを「パヨク」と揶揄し、自らの発言が跳ね返って自滅してしまう様子を見つけては「ブーメラン!」と言って囃し立てることで時間を浪費していた。
だが最近は、そういうわけにもいかなくなってきたのだろう、左派ではない、新たな「いじり」対象を見つけたらしい。 かつてなく「ブーメラン」の跳ね返りがはやく、次から次へと炎上ネタが投入されるという。
それが「日本保守党」だ。
ちょっと目を離しているあいだに、コップの中の嵐・・・いや、「おちょこの中の嵐」は、激しくトンデモない末期症状を呈していた!
1年前は「日本保守党アゲ♂アゲ♂祭り」だったのに…
百田尚樹と有本香が、LGBT法案を可決した自民党に対して異様な敵意をむき出しにして、「日本保守党」を立ち上げたのは、1年半前のことだ。
ネトウヨ雑誌『WiLL』も『Hanada』も、こぞって2人の結党宣言を取り上げ、SNS上の一部は「ついに素晴らしい保守政党ができた!」とバカ騒ぎしていた。
特に『Hanada』は、ここぞ商機とばかりに、毎月のように「日本保守党推し」を展開。百田尚樹は、連日ネット配信番組でイカれたトークをくり返して、党としての政策もないうちから、視聴者に年会費を支払って党員になるよう呼びかけ、ネトウヨたちがぞろぞろ入党、あっという間に「政策はないけど党員は数万人」というネット政党ができたのだった。
日本発の「ネトウヨの可視化」でもあった。
その後、2024年4月の衆院補選、10月の衆院選に候補者を立てて、現在は衆議院に3議席(河村たかし、島田洋一、竹上ゆうこ)、地方に9議員を抱える国政政党となっている。
日本保守党の地方議員の紹介ページを見ると、顔写真だけで「ヤバそう」と感じる面子が並んでいる。 現職議員が他党から鞍替えしたケースがほとんどらしい。
日本保守党、おちょこの中でいよいよ盛り上がってきたのか……と思いきや、事態は一転していた。
今月26日に発売される『Hanada』では「偽善者に騙されるな LGBT理解増進法に反対と主張する偽善者」という日本保守党批判が掲載されるという。 『WiLL』にも「日本保守党への公開質問状」という記事が掲載されるようで、予告では目玉記事として大きく扱われていた。
さらに、SNS上では、ネトウヨ界のスターたちが続々と日本保守党バッシングを開始するという騒動に発展。
極右排外主義を扇動してきたイラストレーターのはすみとしこは、百田と有本を下品におちょくる絵を何枚も描いて、ばら撒いている。
この現象は、一体なんなのか?
怨念系ユーチューバー「百田尚樹の妹分・飯山あかり」の乱(1)
どうやら騒動の発端は、日本保守党から衆院補選に立候補し、落選した飯山あかりという人物が、百田・有本に恨みを持ったまま決別して、『Hanada』に日本保守党批判を書いたことらしい。
飯山あかりについては、『トンデモ見聞録 第312回 ネトウヨ“冬の陣”か? 分断はじまる』(2023年12月19日発行)でも触れたことがあるのだが、もともとは「百田尚樹の妹分」と呼ばれチヤホヤされていた。
本業はイスラム思想研究者で、著書もある人物なのだが、少々精神構造が変わっているようで、次々と論敵に難癖をつけてはケンカを売り、長期間に渡ってSNSとYouTubeを使って粘着質な誹謗中傷をつづけるという、トンデモに分類される人である。 あまりにその恨みつらみが激しいので、「怨念系ユーチューバー」とも呼ばれているらしい。
2023年の記事で紹介した、飯山あかりのYouTubeチャンネルの画像を再掲載しよう。
やばい。 やばすぎる。 何度見ても、怖すぎる。
日本保守党って、なんでこんな人間を立候補させるんだろう、大丈夫なんだろうか、最初から大丈夫じゃないけど、と思いながら見ていたのだが、案の定だった。
落選から半年後には、飯山あかりのターゲットは「日本保守党」になり、恨みつらみライブ配信を、毎日1時間、かれこれ4か月間も続けているらしい。
怨念系ユーチューバー「百田尚樹の妹分・飯山あかり」の乱(2)
飯山は、2024年4月の落選後、10月の衆院選で再挑戦するつもりでいたらしい。 ところが、党が飯山を立候補者として擁立しなかったので、ブチ切れたようだ。
「(百田から)あなたしかいないと言われ、仕事を全部辞め、家庭としても主婦業を辞め、自分の持っていたものをすべて捨てて、地縁のない場所でがんばった」
「その衆院補選の期間に、党の知名度があがって党員が6000人増えた。 ところが2024年10月の衆議院議員選挙の候補者に名前がなかった」
「選挙演説中に、つばさの党に妨害されて恐怖を感じたので、警備をつけてほしいと頼んだがつけてくれなかった。 それでPTSDを患った。 百田からは思いやりのある言葉はなかった」
「YouTube番組がはじまる前に、私だけのけ者にされて、みんなはカレー弁当を注文して食べていた。 私はお腹が空いていたのに、食べるものがなかった。 食事は用意しておくからと言われたのに」
怖い。 怖すぎる。
こんなことになる人物だということは、遠くから眺めていた私だってわかっていたが、それでも怖い。
この怖い人に対して、百田もまた「クソババア」「頭のおかしなクソ女」と応戦しまくっていて、ますますどうにもならない怨念の炎が大爆発。
飯山は、連載を持っていた『Hanada』で日本保守党批判を書くことになるのだが、今度は、それが掲載されると知った百田と有本が、まだ発表もされておらず、読んでもいない原稿について怒り狂って、『Hanada』編集部に怒鳴り込みの電話をかけたらしい……。
カンカンに怒った有本は、自分の『Hanada』での連載を辞めてしまったという。
日本保守党バッシング勃発、元ヤクザが応戦
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(メルマガ『小林よしのりライジング』2025年2月25日号より一部抜粋・敬称略。続きはメルマガ登録の上お楽しみください)
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