この事業は、藤沢市の「ふじさわ障がい者プラン2026」の中間見直し(2024年発行)で「生涯学習などの充実」「情報の受発信支援を進め、活動の手段や環境を確保」が明記されたことも背景にある。
文科省事業といえども、地域のニーズがあり、地域の機運が盛り上がらなければ、実行の価値は高まらない。
まだ社会に浸透しないメタバースを知ってもらうと同時に活用の仕方を提供するために、「その技術を使って何をするのか」への答えも必要だ。
同機構ではメタバース活用のメリットとして以下を挙げる。
「匿名ながらもリアルタイム交流」「時間や場所の制約にとらわれないフレキシブルな交流」「身振り・手振りで自己表現が可能」「アバターの表情など拡張性が高い」「初対面でも堅苦しくなくコミュニケーション」。
特に私がみんなの大学校でのオンライン講義の効果として示している共通点とも重なる。
それは、移動やコミュニケーション発信に障壁がある重度障がい者がメタバース上で表現できる「自分」の拡張の可能性である。
同機構では、目指す姿を、「知る、考える」から「活かす」を経て「変化を起こす」ことだとの構想を立てている。
事業の成果報告会で、私は、メタバースという新しいプラットフォームは「障がい」「健常」のような垣根は無くなり、そのコミュニケーションを行う際の困難な何か、という問題に焦点が当てられていくから、「障がい者」の前提はなくなり、水平型の関係から始まるから面白い、と説いた。
学びは常に期待と不安のワクワク感の中で進んでいくことを考えると、今後のメタバースの「障がい者の学び」への活用は、楽しい未知な学び、未知なる有機的な反応につながりそうで、本事業はまだまだ広がりを見せていくだろうと期待している。
やはり、どんな人も参加してみんなでワクワクを一緒に作っていくのが、いちばん楽しい。
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