私たちの生活に欠かせないものとなっている米大手通販サイトAmazonですが、最近になってレビューが「AI要約」されていることに気づいた方も多いのではないでしょうか。果たして、このAmazonレビューのAI要約は、レビューを書いた人にとってメリットとデメリットどちらがあるのでしょうか?そんな読者からの疑問に答えるのは、『永江一石の「何でも質問&何でも回答」メルマガ』著者で人気コンサルの永江さん。そもそも、このAI要約が「Amazonで採用されている」という事実を考えることが、この疑問の答えにつながっているようです。
AmazonレビューのAI要約は成功 or 失敗?
Question
AmazonのレビューがAI要約されるようになっています。これはレビュアーさんたちにとって得失どっちなのでしょう?
要約を読んで概要を知り興味を持つことで個々のレビューを読むというポジティブな効果なのか、個々のレビューは読まなくなる方向なのでしょうか。
前者なら、レビューを書く意味がありますが、後者ならモチベーションを失うはずです。
Amazon側が、購買数UP=購入者のタイパUP、と考えるならば後者な気もしますが、それはレビュー投稿あってのことですのでレビュー奨励策が必要になるジレンマを抱えている気がします。
要約の登場はレビューが販促になる仕組みにどんな影響を与えるのでしょうか?自分では稀にしか書きませんがレビューは参考にしている側なので心配になってきました。
真面目なアフィリエイトサイトも同様で人間が読まずにAIが読みに来て、エッセンスだけ吸い上げられてクリックはされず、報酬は別のところに発生する構図だと、誰がボランティアでコンテンツ書くのかというジレンマが待っている気がします。よろしくお願いします。
永江さんからの回答
AmazonレビューのAI要約は間違いなく成功していると思います。これは単なる思いつきの機能追加ではなく、徹底的なデータ分析の結果なんです。
皆さんは気付いていないかもしれませんが、実はAmazonってものすごくABテストを繰り返しています。知り合いのAmazonの中の人に聞いたところ、人によってサイトにアクセスした時にボタンの色が違ったり、カートの形が違ったりすることが頻繁にあるそう。何十人かに1人変えてみて、クリックレートがどう変わるかを見たりと、裏でものすごくABテストをぶん回しているんです。
おそらくこのAIレビューも、最初から全ユーザーに表示したわけではありません。一部のユーザーだけに表示して、その人達の購買率が上がったかどうかを徹底的に検証し、結果として上がったから導入されたというわけ。それが完全に実装されたということは成約率が上がったという証拠ですね。
リクルートもじゃらんやHOT PEPPERで同じようなことをやっていますし、Metaも同様です。そもそもAmazonレビューってサクラっぽい中国のレビューや適当な内容のコメントが多く、玉石混交ですよね。(以前、低評価のレビューを書いたら「返金するので消して欲しい」と連絡が来たこともありました)
特に使ってもいないのに星1をつけたり、単なるいちゃもんみたいな信頼性の低いレビューをAIが除外しているのだと思います。レビューを書いている人がどれだけ「参考になった」と評価されているかを選別し、信頼できるレビューを優先的に取り上げていると思いますよ。
これからGoogleマップのマイプレイスやAppleのアプリ評価にも似たような仕組みが導入されていくでしょう。Amazonが最初にこの仕組みを導入したのは画期的だったと思います。皆さんもAmazonを利用する時はAI要約がどれだけ便利か、ぜひ注目してみてください。
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